| 座長: | 高岡 大(今村総合病院) |
| 竹中 理恵(大分岡病院) |
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O1-1 ROSA Kneeを用いた人工膝関節置換術支援ロボットに対しての臨床工学技士の役割
○竹中 理恵、是永 真由子、矢野 裕幸、安藤 昇、御手洗 法江
社会医療法人敬和会 大分岡病院 臨床工学部
【はじめに】 当院で, 2022年12月より変形性膝関節症対して手術支援ロボットROSA knee(以下ROSAとする)を用いた人工膝関節置換術を開始した. 今回, 当院でのROSAに対する臨床工学技士(以下CEとする)の役割を報告する.
【業務習得の方法】 メーカーによる勉強会を変形性膝関節症の進行度分類や手術適応・術式の流れについて行った. その後, 模擬骨を使ってのデモンストレーションを実施し, 実際に手術器具を用いて実技研修を行った. 当初は見学から始め, 実際の作業の流れを把握するようにした. 次よりメーカーの指導で, 立ち上げ時の患者データー入力作業から, レジストレーションまでを手順書を用いて作業を行い, 標準評価表を用いて合格したCEは業務修得とした.
【立ち合い業務内容】 業務として, 装置の配置, 配線の接続と動線の確認, 装置の立ち上げと患者データーの入力作業, ロボットアームのドレーピング援助と手術開始からのレジストレーション, 術後の装置の片づけと点検を行った.
【課題】 兼任業務のため習得にバラつきがあり, さらに骨切り角度や量などのプランニングに対する理解も乏しいためCE単独での立ち会い業務を行うにはより経験が必要となる. また, ROSAのトラブルに関して情報収集を行うとともに, トラブル対応マニュアルの作成やシミュレーションが急務である.
【まとめ】 人工膝関節置換術に対するROSAを導入し, CEにより立ち合い業務が始まった. 疾患と術式の理解を深め, 手術研修を経て業務を開始したが, 今後の対応として骨切りプランニングの理解やROSAのトラブル対応が課題である. このような手術支援ロボットを安全に使用するには, ME機器を専門とするCEの関わりが重要と考える.
O1-2 ライトガイドケーブルの点検方法の検討
○古賀 美保、長瀬 英梨、壽山 晴斗、増田 徹、白石 卓也、山崎 裕太、灘吉 進也
社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 臨床工学科
【目的】 内視鏡用部品であるライトガイドケーブル(以下ケーブル)の製造販売業者推奨の点検項目は,ケーブル端に観察される黒点部分の合計面積比率は面積全体の20%を超えてはいけないとの記載がある.しかし,この方法は目視点検であり個人差が生じる可能性があることから,定量的な点検方法を検討した.
【方法】 調査対象は,当院所有のケーブル12本A~L(4.25mm~2mm).実験① 健常者10名に目視でケーブル端の黒点割合を測り平均値を算出した.実験② ケーブル端を画像処理し画像解析ソフトImageJにて黒点割合を計測した.実験③ 市販LEDライトと照度計(LX-1108)を組み合わせた測定装置を自作し照度を測定,①から③を実用的な観点も含め比較した.尚,予備検証として ランベルト・ベールの法則により算出.
【結果】 実験① A:13±23%,B:27±26%,C:56±25%,D:18±25%,E:19±19%,F:22±20%,G:72±18%,H:23±16%,I:1±3%,J:83±8%, K:19±21%,L:4±7%.実験② A:17%,B:41%,C:65%,D:21%,E:26%,F:18%,G:71%,H:6%,I:0%,J:82%,K:28%,L:0%.実験③ 基準値534 lxに対し,A:193 lx,B:103 lx,C:11 lx,D:179 lx,E:175 lx,F:170 lx,G:32 lx,基準値167 lxに対し,H:72 lx,I:72 lx,J:5 lx,K:47 lx,L:68 lx.
【考察】 ImageJの算出結果と10名の目視点検の平均値は相関関係を認めた.しかし,10名に目視点検を行うことは実用性に欠けると考えられた.ImageJと自作測定装置の結果および計算値に相関関係を認めたことから,自作測定装置の実用性が示唆された.
O1-3 手術支援ロボットhinotoriに対応したフレキシブルな離被架の作成
○荒倉 真凪、源田 卓郎、小田 款文、中田 正悟、溝口 貴之
大分大学医学部附属病院 医療技術部 臨床工学・歯科部門
【はじめに】 手術支援ロボットのメディカロイド社製hinotoriはdavinciに比べ, 本体価格が安いこと, 機器のサイズが小さいこと, ドッキングフリーで清潔野の視野が良いことが利点としてあげられる. 当院でもdavinciに加え, 2022年8月から運用を開始した. しかし, 腹壁操作時にアームが頭側に倒れることで, 装着された鉗子が頭部の離被架(L型スクリーン掛)と接触し破損する事例がhinotoriを使用した手術で3件発生した. 手術支援ロボットの鉗子は複数回使用かつ高価であるため, 破損を未然に防ぐ工夫が必要である. そのため, 頭部を保護しつつアームとの接触を避けられる離被架が求められる. 今回, hinotoriのアームの動きに対応した離被架を作成したので報告する.
【方法】 患者の頭部に合わせ形状が変更できるようにフレキシブルなコヴィディエン社製の人工呼吸器回路支持アームを使用した. 手術台のレール固定金具と組み合わせられるように図面を作成し, 加工を株式会社佐々木精工に依頼した.
【結果】 フレキシブルな離被架を山形にすることで患者の頭部のみを保護し, 離被架と鉗子の接触を抑えることができた. 作成した離被架の使用を開始してからは鉗子の破損は発生していない. また, 既製の離被架より低コストで作成することができた.
【考察】 腹壁側の操作時にはアームが患者の頭側に倒れるため, 離被架による頭部の保護が必要となる. 痩せ型の患者の場合, トロッカーと離被架に高低差が生じること, L型スクリーン掛が頭部の左右に張り出す形状であることが接触の要因と考える. フレキシブルな素材を用い山形にし, 頭部のみ保護する形状とすることで離被架の余分な張り出しを減らし, アームとの接触を無くすことができた. また様々な体格や術式にも対応可能となった.
【結語】 今回, hinotoriのアームの動きに対応したフレキシブルな離被架を作成した. 形状の変更が可能となったことで, 鉗子と離被架の接触を避けることができ有用であった.
O1-4 術後AKIとハプトグロビン製剤投与との関連性について
○真子 雅文1)、竹尾 和弥1)、後藤 謙仁1)、青野 宏美1)、蓑田 英明1)、堤 善充1) 、飛永 覚2)、安永 弘2)
1)社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室
2)社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 心臓血管外科
【目的】 昨今, 心臓外科手術後の急性腎障害(AKI)予防として目標指向型管理(GDP)という人工心肺(CPB)管理法が提唱され, 当院においてもこの概念を基本とし灌流量等に関するマネジメントを行っている. 今回, 長時間のCPBにおいて血漿遊離ヘモグロビン(PF-Hb)測定後にハプトグロビン製剤(Hp)を投与した症例について術後AKIとの関連性について検討したので報告する.
【対象】 2017年1月から2022年3月までの待機的成人開心術症例(透析患者, CKD症例は除く)とし, CPB施行時間が180分を超え, またHpを投与した38例を対象とした. 術後AKIを発症した症例をA群(10例), それ以外をNA群(28例)とした.
【方法】 両群間における人工心肺時間, 酸素運搬量(DO2i), Hp投与後PF-Hb値, Hp投与量, CPB中の尿量, 溶血尿発生数, 輸血量等について比較検討した. 統計学解析にはMann-Whitney U検定およびカイ2乗検定を用い有意水準5%とした.
【結果】 人工心肺時間, DO2i, CPB中の尿量, Hp投与量(mL)について有意差はなく, またCPB終了後のPF-Hb値(g/dL)はA群0.09[0.06, 0.11]vs NA群0.07[0.05, 0.09]と有意差はなかった. 溶血尿発生率は40%vs 28%(p=41), 輸血量(mL)789 vs 568(p=0.048)とA群で高値を示した.
【考察】 今回の検討では輸血量およびCPB中の溶血尿の発生が術後AKI発生率に関与していることが示唆された. 溶血はサクション量等にも影響を受けるが, 輸血による血漿中のハプトグロビンの消費がA群で多かったことが考えられる. 今回PF-Hb測定の時間の統一性がされていない点やDM, 脂質代謝異常等の検討は行っていないため, 今後更に症例を重ねHp投与タイミングの関連性について検討していく必要があると考える.
【結論】 Hpを投与した症例において輸血量, 溶血尿発生が術後AKI発症との関連性があることが示唆された.
O1-5 内視鏡手術支援ロボットdaVinci Xiにおけるインシデント分析の報告
○森山 実祐、佐々木 俊輔、篠田 真教、嘉松 翔、佐野 茂
久留米大学病院 臨床工学センター
【背景・目的】 当院でのdaVinciを用いた内視鏡手術は, 2016年6月に泌尿器科で実施された前立腺癌に対する悪性腫瘍手術に始まり, 現在では泌尿器科, 胃・大腸外科, 婦人科, 呼吸器外科, 肝・胆・膵外科の計5つの診療科で行われている. 今回, daVinciを用いた内視鏡手術の過去6年間のインシデントを分析し, 今後のトラブルシューティングについて検討したので報告する.
【方法】 2016年6月から2022年12月までに当院で実施されたdaVinciを用いた症例884例を対象に, 関連するCLIPインシデント報告分析支援システム(NSD)を用いたインシデントレポートの集計を行った.
【結果】 対象の症例884例のうち, インシデント報告があった症例は59例, インシデント発生率は約7%であった. 最も多いトラブルは, ペイシェントカート(以下PC)関連であり, 原因は主にアームの動作不良であった. 次いで多いトラブルはPCに接続するインストゥルメント類の不具合であった. 人為的なトラブルは5件報告されていた. また, 1年ごとに見ると, 2020年は症例数195例のうちインシデント報告数が23件であり, インシデントの発生率は約12%と最も高かった.
【考察】 2020年にインシデント発生率が高かった理由としては, 2020年頃から機器トラブル等の情報を診療科間や多職種間で共有するため, 軽微なエラーもインシデントとして報告する働きが始まったことが挙げられる. また, インシデントレポートは当日中に提出することが義務付けられており, 後日報告されたメーカーの調査内容を記載できない場合が多かった. そのため, インシデントレポートとは別に, トラブルの概要と対応方法, メーカーの調査内容などを共有し蓄積するシステムを導入すると, 今後迅速なトラブル対応が可能になると考える.
【結語】 daVinciに関するインシデントは機器本体のエラーが多いため, 各診療科間, 多職種間で情報共有を行うことが, 迅速で適切な対応を行う上で重要である.
O1-6 当院における術中モニタリングの現状
○甲斐 司、宮﨑 聖奈、古川 冴次郎、遠藤 幹也、中川原 稜平、春藤 毅之、高橋 一久
産業医科大学病院 臨床工学部
【はじめに】 近年, 術中モニタリングの診療点数が増加するなど手術における神経モニタリングの重要性が増している. 日本臨床神経生理学会認定の術中脳脊髄モニタリング認定技術師の資格取得条件に歯科医, 検査技師に加え, 臨床工学技士も加わる予定になり臨床工学技士が携わる機会が増加している. 今回, 当院の術中モニタリングへの臨床工学技士としての携わりについて報告する.
【現状】 当院で行っている術中モニタリングの種類は, Tc-MEP, Dc-MEP, SEP, VEP, BAEP, 中心溝同定を主に行っている. 使用機器は, MEE-2000(日本光電), MEE-1216(日本光電), ISIS(inomed), NVM5(NUVASIVE)の4機種を症例に合わせて使用している. 昨年度実績は脳神経外科88例, 整形外科129例, 脳卒中血管内科2例, 呼吸器胸部外科4例となっている. その全症例において, 臨床工学技士がセッティングからモニタリングまでを行っている. 当院では, 術中モニタリングの研修は始めに整形外科から行い, その後, 脳神経外科や脳卒中血管内科の症例を行うようにしている. また, モニタリング精度向上にため医師と共同で術中誘発モニタリングの症例の検討や研究も行っている.
【結語】 今後は, モニタリングの質を担保しつつ手技をできるだけ簡便にすることで担当する技士での差をなくし, 正確かつ安全なモニタリングを行えるようにしていきたい.



