司会:鈴木 理功(帝京大学)
PS4-1 医療技術者たるもの科学者であれ!!
吉川 貴則 純真学園大学 保健医療学部 医療工学科 准教授
第1セッション
| 学生座長: | 上野 翔太郎(純真学園大学) |
| 教員座長: | 石田 開 (純真学園大学) |
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PS4-2-1 陰圧吸引補助脱血を用いた体外循環における 人工肺からの空気吸い込みと粘度の関係性についての検討
〇森 明日香、中村 瑠那、輪内 敬三、廣浦 学
帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
【背景】 人工心肺を用いる遠心ポンプでは, 適正圧閉度ではないため, 前負荷, 後負荷, 血液粘度によって流量が変動すると言われている. また, 陰圧吸引補助脱血(VAVD)を行う際, 過度な陰圧は人工肺に空気を引き込む恐れがある. そこで, 血液粘度に着目し, 粘度の違う液体であれば, 人工肺に空気を吸い込む陰圧の値が変わるのではないかと考えた.
【目的】 生理食塩液, グリセリン溶液, 牛血の三種類の充填液を使用し, 粘度の違いと陰圧脱血による空気の吸い込みとの関係について比較検討することが目的である.
【方法】 実験方法としては, 人工心肺装置(スタッカート人工心肺装置S5)を使用して, 人工肺(BRIZIO, ポリプロピレン膜)に生理食塩液(1.2cP), グリセリン溶液(40%希釈, 2.04cP), 牛血(Ht55%, Hb18.7g/dL, 4.5cP)をそれぞれ充填する. リザーバを低圧持続吸引器(メラサキューム)にて-50cmH₂Oとし, 回転数, リザーバの液面を変更し, 人工肺上端部から垂直に立てた測定用ラインの液面の高さを測定する. 得られたデータを基に散布図を作成し, 検討を行う.
【結果】 生理食塩液の場合, 落差10cmで1000rpm, 落差5.5cmで1000rpmのとき空気混入があった. 落差14.5cmのとき, どの回転数にしても空気混入は見られなかった. グリセリン溶液の場合, 落差5.5cmで1000rpmのとき空気混入が見られた. 牛血の場合, 落差10cmで1000rpmのとき, 落差5.5cmで1000rpm, 1500rpmのとき空気混入が見られた.
【考察および結語】 粘度が高いほど陰圧に対する圧力損失が大きいため, 今回の結果が得られたのではないかと考える. 実験中は, 遠心ポンプの回転数を徐々に変えたが, もし回転数を急激に下げた場合は粘度の違いによらず, 十分な液面を保っていても回路への空気混入の恐れがあることを経験した. よって, VAVDを用いた遠心ポンプによる体外循環を行う場合, 人工肺より貯血槽の液面の高さを十分に保つことが条件であり, その高さを超えない陰圧を設定することが重要である.
PS4-2-2 画像認識による医療材料組み立て合否判定について
〇宮川 諒也、岩永 侑実子、吉武 七夏、新屋 哉人、槇野 天太、稲富 春花、伊藤 奈々
帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
【背景】 医療材料の組み立てを自動評価可能なシステムの構築を目指している. 医療従事者養成校の学内実習において様々な医療手技や医療材料の組み立てを習得する際, まず, 教員が操作を実演し, 学生は, それを真似て操作を行い, 教員から評価を受ける. 教員1名に対し10から40名の学生を指導しているため, 一度の実習では確実に習得できない学生がほとんどである. そのため, 自主学習が必要であるが, 教員が付きっきりで指導することは困難である. そこで, 本研究室では, 医療材料にマーキングを付け画像認識を行い合否判定するシステムが実現可能であるか検討した.
【目的】 医療材料にマーキングを付け, 画像認識により組み立ての合否判定が可能であるかを検討することが目的である.
【方法】 画像認識での合否判定の方法としてマークを付け認識させることとした. 医療材料につける最適な色(黒・白・赤・黄)と大きさのマーキングを検討し, 検討したマーキングの写真を撮影, その後その写真をPCに取り込み, 数値解析ソフトウェアであるMATLABで評価を行えるスクリプトを作成した.
【結果】 マーキングの中心座標を二つの条件式に当てはめることで判定することで可能になった. 最適な色は, 黄色であり, 形状は, 縦6mm×横8mmの長方形を二つと, 縦6mm×横16mmの長方形であった.
【考察】 色は, 画像内に抽出する色と同系色があれば抽出するため, 画像内に被らない色である必要があったため黄色が最適であったと考える. サイズとそれぞれの距離は, マーキングを認識させる工程の中で膨張処理をする必要があったため, それを考慮してマーキングのサイズを小さくし, 距離を十分にあけることで抽出が可能になった.
【結論】 医療材料にマーキングを付け, 画像認識で合否判定を行うことは可能であった. 今回は, マーキングは一つであったため, 今後は, 複数マーキングの判定を行い, 自動評価システムの構築に向けて検討を続けていきたい.
PS4-2-3 患者家族に対するAR版人工呼吸器トラブル対応トレーニングマニュアルについて
〇稲富 春花、岩永 侑実子、武 七夏、新屋 哉人、槇野 天太、宮川 諒也、伊藤 奈々
帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
【背景】 近年, 在宅医療を受ける患者が年々増加しており, 在宅医療における問題として, 特別な処置が必要な場合がある. 厚生労働省の調査によると特別な処置を必要とする在宅医療患者は増加傾向であり, もっとも増加しているのが「在宅人工呼吸指導管理料」であった. 患者家族が人工呼吸器の管理をしなければならないため, 家族への負担がある. 患者家族へのアンケート調査によると「退院時の指導不足」の不満や「トラブルとその対処法」についてのマニュアルが不足していたことが明らかになっている. そこで, 医療教育で効果的であるとされているARグラスでこれらの問題点を解決できないかと考えた.
【目的】 在宅で人工呼吸器を使用する患者家族の為の訓練用システムを開発することが目的である.
【方法】 実際に「トラブルとその対処法」のマニュアルが不足していたという結果から, 非医療従事者にとって直感的に理解しやすいAR版のトラブル対応マニュアルを作成し, アンケートにより評価した. 使用したARグラスは, 音声認識で画面の切り替え操作が可能でガイダンス付きで, 実機を操作しながらマニュアルを参照できる. 人工呼吸器の緊急時ガイドラインを参考にグラスに表示させる画像の写真を撮影し, 専用PCに取り込みオリジナルの「トラブル対応マニュアル」を作成した.
【結果】 結果は, 非医療従事者の訓練用として分かりやすく, 指導者が不在の時も反復練習ができるので良いという評価であった.
【考察】 退院指導について先行研究では, 「1つ1つの行為に対して説明と実施, 確認を繰り返し行う」, 「統一した指導を行い, 納得できるまで繰り返し指導をする」ことが有効であったと報告されている. 今回開発したマニュアルであれば, 実機を目の前に繰り返し練習可能で, 患者家族の訓練のサポートになると考える.
【結語】 AR版「トラブル対応マニュアル」は, 患者家族の訓練用として使用できる可能性が示唆された.
PS4-2-4 血圧モニタリング用チューブのプライミングにおける廃液処理の検討
〇菊武 真衣1)、中武 桃華1)、菅井 日奈子1)、輪内 敬三2)、廣浦 学2)
1)帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
2)帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科
【目的】
血圧トランスデューサを使用し, カテーテル先端に排液を回収できる材料の選定を行い, 利点・欠点を検討した.
【方法】
①:血圧トランスデューサのセットをプライミングし, エア抜きが完了するまでに廃液する量を測定する. 用いた材料は血圧モニタリング用チューブセット(エドワーズライフサイエンス株式会社)の7種とした. 方法として, 10人の学生と教員を対象にプライミングを行い, 廃液で漏れた量をメスシリンダーで測定した. なお, モニタセットにシリンジが付属されている場合はシリンジ内の液量を5mLとした.
②:吸収材については, ポリオレフィン, ポリエステル・ポリエチレン, コットン, ポリエステル・レーヨン, 綿状パルプ, ポリアクリル酸ナトリウム(40粒), 高吸収スポンジとした. 血圧モニタリング用チューブ先端にプラスチック製の袋を取り付けとして, ポリエチレン袋, パーティ用バルーンを使用した.
【結果】
①:7種類のカテーテルの廃液量最大量は31mLであった.
②:吸収量は, ポリオレフィン69mL, ポリエステル・ポリエチレン47mL, コットン20mL, ポリエステル・レーヨン27mL, 綿状パルプ40mL, ポリアクリル酸ナトリウム10mL/40粒, 高吸収スポンジ72mLであった. また, 吸収剤によっては袋の中で偏った吸収があることで漏れ出てしまうこともあった.
【考察】
ポリエステル・ポリエチレンは, 生理食塩水を流すと, 30mL以上で溢れてしまう. そのことから, 取り付けた袋を落としてしまうと水がこぼれ廃液が床に落ちてしまう可能性がある. パーティ用バルーンのポリエチレンとアルミの場合, 先端が逆止弁となっていることから, 逆流しないためそのまま密閉された袋を捨てることができる. また, 高吸収スポンジは, 全面が吸収できるスポンジであれば短時間ですべての水を吸収できる.
【結語】
パーティ用バルーンを使用し, 高吸収スポンジを入れることで, プライミング時に排液が床にこぼれない.
第2セッション
| 学生座長: | 梶原 諒亮(博多メディカル専門学校) |
| 教員座長: | 池永 栄 (博多メディカル専門学校) |
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PS4-2-5 3D心臓モデルを用いた心電図教育ソフト作成についての検討
〇古賀 翔太1)、堀本 彩華1)、田中 綺女1)、柴田 悠衣1)、輪内 敬三2)、廣浦 学2)
1)帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
2)帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科
【背景】 循環器領域において, 心電図を読めることは必須条件だと考える. しかし, 心臓からの電気信号と心電図波形との関係のイメージがしにくいため, 心電図を読めるようになるまでに多大な時間がかかってしまう.
また, 実際にサークル内での心電図検定の勉強会をしている中で心電図波形の理解がしにくいという声が多くあがったため, イメージしやすいような立体的な心臓と心電図を見ることができる心電図教育ソフトが必要だと感じた.
【目的】 本研究では, モデリングソフトを用いて3D心臓モデルおよびアニメーション作製を行い, 心臓の動きの理解度のアンケート評価を行う.
【方法】 モデリングソフトであるBlender(Blender Foundation)を使用し, 心臓のモデリングおよびアニメーション作製を行う.
アンケート評価はGoogle formsを使用し, スプレッドシートにまとめた.
【結果】 Blenderを用いることによって心臓のモデリングおよびアニメーションの作製を行うことができた.
しかし, 心臓の断面のモデリングは複雑なため今回は外側のみの作製になった.
また, 作製した3D心臓アニメーションを学生に公開し, アンケートを取ったところ, 心臓の動きのイメージがしやすくなったとの声が多かった.
【考察】 今回は, 心臓のモデリングおよびアニメーションを作製することができたが, 作製する際の操作方法についての情報が少なかったため, 心臓の形へのモデリングや心臓の拍動アニメーション作製に時間を要した.
また, アンケートの結果より, 心電図教育ソフトを作製することで, 心電図波形の理解度が上がることを予想することができる.
【結語】 本研究では, 心臓のモデリングおよびアニメーションを作製することができた.
今後は心電図教育ソフトの作製を行っていくが, プログラミング言語についての知識も必要になってくると予想される.
PS4-2-6 腹腔鏡シミュレーションを用いた 学生用腹腔鏡支援業務の教育システム構築を試みて
〇永田 凌雅、芳賀 尚登、鈴木 理功
帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
【背景】 近年, 医師の働き方改革によって臨床工学技士の法改正が実施され, 鏡視下鏡の保持, 操作などの腹腔鏡支援業務が追加された. 教育業界においても, 2023年度より告示研修の内容を含んだ新カリキュラムがスタートし, 腹腔鏡支援業務の教育システムの構築が喫緊の課題となっている. そこで, 本研究では腹腔鏡シミュレータを用いた腹腔鏡支援業務の教育システムを構築し, 学生たちに対してアンケート調査を実施することにより本教育システムの有用性を評価したので報告する.
【方法】 対象は帝京大学福岡医療技術学部医療技術学科臨床工学コースの学生20名(3年10名, 4年10名)とした. 教育システムは, ①天然ゴムラテックスと水風船を用いて膀胱を模した模型を作り, 天然ゴムラテックスの表層を剥離鉗子で剥離している様子を撮影するトレーニング, ②視野確保訓練モデルを作製し, 直視鏡と斜視鏡を用いて, 見え方の違いを体験するトレーニングを実施した.
【結果】 アンケート調査の結果より, 「内視鏡に興味を持つことができた」(14名)(70%), 「内視鏡への理解が深まった」(11名)(55%), 「授業へのモチベーションが向上した」(11名)(55%)など, 好意的な意見が多かった. 一方で, 「距離感が掴みづらい」(2名)(10%), 「カメラ操作が難しい」(2名)(10%)などの意見も得られた.
【考察】 腹腔鏡シミュレータを用いて腹腔鏡支援業務の教育システムを構築することができた. 本教育システムを通して, 実際の機器に触れ, 在学では学べない体験したことが, 学生達のモチベーションの向上や内視鏡への理解につながったのではないかと考えられた. 今後も, さらに改良を重ねて, より良い腹腔鏡支援業務の教育システムを構築していきたい.
PS4-2-7 ハンズフリーマニュアルを用いた視覚・聴覚刺激による学習効果の検討
〇岩永 侑実子、吉武 七夏、新屋 哉人、槇野 天太、稲富 春花、宮川 諒也、伊藤 奈々
帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース
【背景】 現在, 医療技術者(臨床工学技士)を目指す学生は, 医療技術を習得する際, 紙媒体の教科書やマニュアルを参考にしながら練習を行っている. しかし, 両手を使うので, 手技を行いながら参照することが困難である. 本研究室では, スマートグラスを用いて, ハンズフリーでマニュアル参照可能な音声認識ハンズフリーマニュアル(HFM)の医療教育への応用研究を行っている. 本マニュアルは, 視覚と聴覚を刺激する新しいマニュアルである. 視覚だけでなく聴覚も刺激することで学習効果が向上すると考えられる.
【目的】 目的は, 医療技術習得において視覚刺激学習法(HFMガイダンスなし)と視覚・聴覚刺激学習法(HFMガイダンスあり)のそれぞれの操作精度・記憶量・再現率・操作時間を比較し, 最適な学習方法について検討することである.
【方法】 血液透析プライミングを学習済みの学生10名を被験者とし, 5名はHFMガイダンスありで手技を行わせ, 残りはHFMガイダンスなしで手技を行ってもらった. それぞれ1回目を学習とし, 学習から1週間後の2回目をテストとしブラインドで手技を行ってもらった. その後, 両群を入れ替え, 同様に手技を行った. 評価項目は, 操作精度, 記憶量(筆記テスト), 操作再現率, 操作時間, アンケートである. なお, アンケートは学習後に, 筆記テストはテスト後に行った.
【結果】 HFMガイダンスありの方が操作時間を要したが, ブラインドテストでの再現率は高く, 点数の変化率が少ない傾向を示した.
【考察】 本研究では, 視覚聴覚両方を刺激するHFMガイダンスありの方が操作精度と再現率が高かった. マルチモーダルインターフェースの研究では, 視覚と聴覚を独立して刺激するより同時に刺激するほうが情報を認識する際, 有効であるとされている. 本研究でもその効果があったものと考えられる.
【結語】 視覚刺激に聴覚刺激を組み合わせたHFMは医療手技習得に効果的な学習方法である.
第3セッション
| 学生座長: | 山田 楓 (帝京大学) |
| 教員座長: | 宮田 賢宏(帝京大学) |
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PS4-2-8 閉鎖式気管吸引カテーテルにおけるフラッシュ時の垂れ込みについて ~最新式カテーテルでの追加研究~
〇宮原 龍星1)、山下 倖輝2)、江崎 敬太1)、池 浩司1) 2)、土居 二人1) 2)
1)長崎総合科学大学 工学部工学科 医療工学コース
2)長崎総合科学大学大学院 電子情報学 医用工学専攻
【はじめに】 閉鎖式気管吸引は, 大気に開放されず, 人工呼吸器による補助換気を行いながら吸引できるため, 呼気終末陽圧(Positive End Expiratory Pressure: PEEP)や肺容量を維持でき, 低酸素血症を予防できる. 気管吸引のガイドライン(初版)が2007年に作成され2010年の告示により, 臨床工学技士にも人工呼吸器を装着した患者の吸痰を行う業務が広く普及した. 閉鎖式気管吸引のメリットとして低酸素状態の回避, PEEP解除の回避, 分泌物の飛散回避, 吸引操作の度のスタンダードプリコーションの回避など6つのメリットが報告されている. 一方で, 気管吸引により起こり得る合併症には, 患者の苦痛を始め頭蓋内圧上昇, 冠動脈攣縮など14種類あまりの合併症が報告されているが, フラッシュ時における垂れ込みの要因についての研究は2018年のDoiらの研究以降行われていない. そこで本研究では, 改良された最新式の閉鎖式吸引カテーテルを含む3種類の機種に絞り, フラッシュ時の垂れ込み原因と因果関係について焦点を当て実施を試みた.
【方法】 吸引シミュレータ(株式会社京都化学社製)を用いて挿管と気管切開の患者を模擬し, 吸引器はミニックS(新鋭工業社製)を使用した. 人工呼吸器は, LTV1000(Pulmonetic Systems)を使用し, 挿管・気管切開カテーテルには成人用として, トラックケア72(アバノス社製)・サクションプロDルーメン(スミスメディカル社製)・エコキャス72(コビディエン社製)の3種類を用いて吸引後にフラッシュ操作を行い, 垂れ込みの状況を検証した. 検証条件は, 接続口を支点として挿管チューブの曲がった角度を0°, 25°, 45°, 75°, 90°とし5条件で10回ずつ計測した. 気管切開は角度を90°のみとしトラックケア72・エコキャスの2種類を用い比較検討した.
【結果】 各換気量別にエコキャスを除く2種類のカテーテルで垂れ込みが認められた. 角度に注目すると, 角度の上昇に伴って垂れ込み回数が増える結果となった. モードでは量換気(VCV)より圧換気(PCV)で垂れ込みの回数が増えた. PEEP別でもVCVでは上昇すると垂れ込み回数が多くなり, PCVでは更にPEEPの上昇に従い垂れ込み回数が増えた. エコキャスの結果としてはPCVとVCVのモード別, PEEP別, 角度別全ての項目で, 垂れ込みは認められなかった.
【考察】 先行研究では, エコキャスのモード別, 角度による垂れ込みが頻繁に見られたと報告があった. しかし, 本研究ではフラッシュ時の垂れ込みが確認されなかった. 一方, 他のカテーテルでは, 先行研究と同じように換気量の増加に伴い, 垂れ込み量が増える現象が確認された. 本研究でも, 垂れ込み防止を考えた手技の徹底の必要性が証明された. ただし, フラッシュ時に垂れ込みの影響を全く受けないエコキャスも垂れ込み防止装置の扱いを誤ると大量に洗浄水が垂れ込む恐れがある. また, 気管切開用のエコキャスでは垂れ込み防止装置がないため先行研究と同様の結果となった. 今後は, 本研究のデータを基に小児用カテーテルの追加実験も行っていく予定である.
PS4-2-9 AIを活用した専門教育の最適化
今本 輝
博多メディカル専門学校 臨床工学技士科
【目的】 臨床工学技士の養成校に通う学生はタスクシフトや技術の進歩に合わせて学習量が増え続け, 学習の多様化に合わせて時間と効果を最適化する学習法が求められている. 本研究では, 既存の学習法にAIを活用することで効率的に学習ができるかを検討する.
【方法】 OpenAI社の開発するChatGPT (GPT-4)を認知心理学や教育心理学の観点から効果が実証されている以下の3つの学習法に応用し, AIを用いることでどのように学習を効率化できるか検討する.
①想起練習(問題を解いて, 学んだことを思い出すことにより記憶を定着させる学習法)
②精緻化リハーサル(学習内容を自分の言葉に置き換えることで長期記憶として定着させる方法)
③生成練習(学習前に問題を解くことで, 学習中の理解度を高める学習法)
【結果】 ①想起練習:ノートやメモなどのテキストデータから自由に問題を作成することができた.
②精緻化リハーサル:ケーススタディのような対話形式の学習は可能だが, GPT-4は医療現場で必要とされる専門的な知識には対応しきれない点が多かった.
③生成練習:想起練習と同様に問題の作成が可能であった. ただし, 必ず講義内容に関する資料をもとに作成する必要があった.
【考察】 想起練習や生成練習ではあらかじめ専門知識をGPT-4に学習させることで, 学習者の記憶の定着に役立てることが可能だと分かった. 精緻化リハーサルでは臨床工学技士が必要とするような専門知識にGPT- 4が対応できない点が多かった. これはAIを学習に活用するという面で障壁となっているが, 自分の学習する内容をAIに認知させることで専門的な学習にも対応できるため, 一部の学習法は効率的に進めることが可能であると考える.
【結語】 AIの活用はテキストデータからの問題作成には有効であったが, 専門知識に対する処理能力はまだ不十分である. この問題を解決することで, AIの全面的な教育応用が可能となる.
PS4-2-10 新規学卒者によるインターンシップ制度の必要性について
〇居原 照高、高倉 凌雅、髙田 稜貴、西原 裕也
博多メディカル専門学校 臨床工学技士科
【背景】私たち臨床工学技士科は病院実習を行っており, そこでは病院の雰囲気や知識を深めることなどができる. しかし, 病院実習だとレポートや学習に意識が向いてしまい, 実際にその病院で働くという経験やイメージを得ることができない. そこで業務の体験を目的としたインターンシップ制度を行うことができれば, その病院で働くという経験が得られ, 就職後スムーズに業務を行うことができるのではと考えた. そのため新規学卒者による臨床工学技士の病院インターンシップ制度の必要性についてアンケート調査を行った.
【対象・方法】博多メディカル専門学校臨床工学技科106名と博多高校看護専攻科2年生47名にアンケートを行った. 臨床工学技士科にはインターンに参加してみたいかなどのアンケートを行い, 看護専攻科2年生にはインターンの経験の有無や参加のメリットなどのアンケートを行い, 回答をまとめた.
【結果】アンケートを行った結果, 看護専攻科2年生のインターン経験者は病院の雰囲気を知ることできたという回答が多く, 病院実習と違ってインターンは業務や福利厚生の面について知ることができるという回答や実習という負担がないという回答があった. また参加した理由として, 就職希望の病院だからという回答があり, 臨床工学技士科は参加したいという人が約8割で新規学卒者だけでなく, 進級者も参加に興味がある人が多かった.
【結論】インターンシップ制度は病院実習と違って負担感がなく業務を知ることができるため, 事前に雰囲気や体制を知ることができる方法としてインターンシップ制度の必要性はあると考える. しかしインターンに参加した理由が就職希望の病院だからという回答が多いため, 就職先を決めている新規学卒者がインターンを行う傾向であるが, 進級者にも興味を持つ者が多いため, インターンシップを利用してもらい, 就職活動への意識向上としても活用できると考える.
PS4-2-11 毎日指導を受けている「挨拶・時間厳守・報連相」が なぜ身につかない人がいるのか
〇眞鳥 善春、谷口 翔大、樽見 翔太、松本 健伸、宮城 翔太
博多メディカル専門学校 臨床工学技士科
【背景・目的】 現在, 私たちは医療と工学の知識だけでなく, 患者接遇やマナー, コミュニーケーションの取り方などを勉強している. 学校生活においては特に「挨拶・時間厳守・報連相」が身につくように指導を受け, さらに臨床実習に向けて客観的臨床能力試験(OSCE)の中でもその習得状況を確認している. しかし, 臨床実習後の評価では毎年「挨拶や返事ができていない」, 「時間が守れない」などの当たり前のことで一部の学生が指摘を受けていることが分かった. そのため, 毎日学校でも指導されているのになぜ「身についている人」, 「身についていない人」がいるのか疑問に思い調査を行った.
【対象・方法】 当校の臨床工学技士科の学生107名に「挨拶・時間厳守・報連相」の自己評価と目標, 生活習慣, 今までの取り組みについてアンケートを行った. アンケートの結果を「挨拶・時間厳守・報連相」の自己評価を点数化し, 評価の高い群と評価の低い群を抽出しそれぞれの特徴をまとめ考察した.
【結果】 有効回答101名のうち「挨拶・時間厳守・報連相」が適切に身についている評価の高い群は22人, それらが身についていない評価の低い群は15人であった. 評価の高い群は, 「具体的な目標を立てている」, 「周囲からの評価を気にする」, 「正しい言葉遣いができる」, 「部活動を行っていた」割合が高かった. アルバイトやリーダーの経験の有無, 生活習慣については両群に違いはなかった.
【結語】 「挨拶・時間厳守・報連相」が身についていない学生は, 将来の目標がない, もしくは具体的ではなかった. そのため自分を見つめ直す機会がなく, 自分に何が必要なのかわからず努力を怠ったと考えられた. そのような学生は臨床実習などの対外的な場面のみ出来ればいいという考えから, 日頃の指導に対しても意識して改善する姿勢が見られず, その結果, 適切な能力が十分に身につかず臨床実習の場で指摘を受けている.



