職能企画セミナー 告示研修
| 座長: | 三島 博之(九州大学病院別府病院) |
| 矢野 隆史(飯塚記念病院) |
コメンテーター :山浦 健 九州大学病院 麻酔科蘇生科 教授
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PS6-1 業務拡大に対する告示研修の意義 スコープオペレーターを中心に
荒木 康幸
社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院 臨床工学部門 技士長
臨床工学技士法の一部改正により, 臨床工学技士(CE)に新たに与えられる業務に対して厚生労働大臣の指定による研修が必要となった. 今回は当院の業務拡大の歩みと内視鏡用ビデオカメラの操作(スコープオペレーター)の告示研修について報告する.
当院では, 2004年より医師不足対策として手術室におけるPA(Physician Assistant)を意識した取り組みをCEにて開始し, 現在までに7000件以上を対応してきた. これらの実績を認めて頂き, 2019年に厚労科研費補助事業研究班や日臨工理事の方々の視察を受け入れ, 「日本国内でのタスク・シフト/シェアの先進的取り組み済生会熊本病院の視察報告」というレポートで厚労省へ報告された. その後, タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会が厚労省で7回開催(青木専務理事参画)され, 法令改正のもと新たな業務が追加される運びとなった. CEとしては初めての業務追加であったが, この成果は技士会, 技士連盟, 議連の先生方々の並々ならぬご苦労の成果であったと考える. そして, 今後も業務拡大が可能であるとの希望を私たちに与えて頂いたと信じている.
スコープオペレーターの告示研修では, 業務経験豊かな講師からの講義とEBM社で開発されたシミュレータでの実技研修が行われる. 実臨床で役立つタスクを準備しているが, 多くの受講者は初めての経験であるため, クリアすることは難しい. しかし, 指導する側は様々な工夫を行っており, 多くの受講者は研修終了時にクリアできるようになる. 受講者からは, 楽しかったもしくは満足したとの言葉を頂くこともあり, 私たち指導者のモチベーションに繋がっている. 開始直後はコロナ下で多少混乱はあったが, 開催を継続し現時点で1万1千人以上が全過程を終了している. これは, 臨床工学技士の意識の高さのあらわれともいえよう. 今回の業務追加をスタートとして考え, 今後の業務拡大に向け技士会を中心に個人個人が考える風土作りが必要である.
PS6-2 告示研修からの一歩 麻酔アシスタント業務に関して
笠野 靖代
社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院 臨床工学部門 係長
【はじめに】 医師の働き方改革の推進により, 診療の縮小が懸念されるなか, 手術室で術野アシスタント(スコープオペレーター)や麻酔アシスタント(麻酔補助)などの新たな業務を導入することは医師不足での診療の縮小防止に有効と考える. 当院では院内認定制度を用いて2019年より麻酔アシスタント業務を開始した. 今回, その資格要件から業務内容を紹介する.
【資格要件と業務内容】 麻酔アシスタント候補として選出された臨床工学技士は, 研修責任者の麻酔科医から約1年間, 麻酔に関する研修を受ける. 主な内容は, 麻酔の基礎知識を学ぶ「講義」, トラブルを想定した「シミュレーション」, 実際の麻酔管理を麻酔科医とともに行う「実習」である. これらを全て研修したのち, 筆記試験と院内の認定審査チームによる審査が行われ, 麻酔アシスタントの認定資格を得ることができる.
業務内容は, 麻酔科医の指示のもと, 麻酔準備を行い, 麻酔導入時および麻酔覚醒時の介助を行う. 手術中は補液や薬剤の更新や麻酔器の設定変更, 血行動態のモニタリング, 麻酔記録の代行入力など行う. これらは原則, 医師の監督のもとに行うが, 緊急対応等で医師が不在となる場合は, 適宜報告し指示を得て的確な対応を行っている.
【告示研修と麻酔アシスタント業務】 基礎研修のe-learnig「2-3静脈路からの薬剤投与」は麻酔に関して学ぶことができる. そこでは輸液に関することから, 麻酔に使用する薬剤について, その効果から禁忌, 有害事象なども記されており, 実際に麻酔科医師からの学んだ研修内容とリンクしている. さらに, モニターの見方や意識レベルの評価なども学ぶことができ, 麻酔アシスタント業務において非常に有効な研修であると考える. 今後は, 実技研修で学んだ静脈路確保も業務の一つとして検討したい.
【結語】 当院における麻酔アシスタント業務について報告した. 告示研修からの一歩として多くの施設が介入していくことを望む.
PS6-3 小倉第一病院における臨床工学技士のマルチタスクシフト
植田 和枝
医療法人真鶴会 小倉第一病院 臨床工学部 部長
当院は「透析患者の完全社会復帰」を設立理念とし, 1972年に福岡県北九州市で最初の夜間透析可能なクリニックとして開業した. 現在開業50周年を迎え, 125床の透析ベッドと80床の入院ベッドを持ち, 透析を中心とした医療を提供している.
臨床工学技士は20名在籍しており, 院内で透析室を中心に様々な業務に従事している.
2021年5月に臨床工学技士法の一部改正が公布され, 2021年9月から新たに与えられる業務に対して必要となる知識と技術の習得のための告示研修が始まることが発表された.
その発表直後から, 当院の臨床工学技士からは研修受講に関する多くの意見や問い合わせを受けた.
今回の臨床工学技士法の改正は, 透析専門病院の臨床工学技士の業務に関わる内容は少なく, 当院の臨床工学技士が研修を受けなくても, 業務上の支障はほとんどない.
しかし, 当院ではできるだけ早く希望者全員に告示研修を受講させることを決めた.
研修の順番・研修費用や実技研修の扱い(勤務扱いか休み扱いか)・今後の受講者と未受講者の扱いについても院長と相談し, 条件を決定した.
当院は2021年11月に新築移転を予定していたため, e-ラーニング受講開始を2022年1月からとした. 2023年6月末時点で17名の臨床工学技士が実技研修を終えている.
今回は, 当院における告示研修への取り組みと, 院内の臨床工学技士のタスクシフトの現状や今後の課題について報告する.



