| 座長: | 小畠 勝司(福岡大学病院) |
| 竹内 正志(聖マリア病院) |
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PS7-1 山と川に囲まれている当院の災害対策
千々岩 俊祐
佐賀市立富士大和温泉病院
昨今, 災害級の大雨や台風で各地に被害をもたらしている. これまで, 佐賀県も豪雨災害で病院が浸水したり, 道路が冠水し, 自衛隊やDMATが出動することがあった.
当院は, 山と川に囲まれており, 災害級の大雨の際には, 病院までの道路が通行止めになることがしばしばある. そんな中, 病院の孤立問題や, 病院からさらに山の方にお住まいの住民の皆さまの安全確保として, 当院が拠点となるように災害用のヘリポートが近年設置された. 急患の搬送用ではなく, あくまで物資や住民移動用である. このような流れになった経緯やどのように設置されたかを発表する.
PS7-2 災害十色、想定内・想定外
黒田 彰紀
熊本赤十字病院 第一臨床工学課腎センターCE係長
世界のマグニチュード6.0以上の地震の約2割が起こっているとされる地震多発国の日本には, 近い将来に, 大きな地震を起こす可能性が高い活断層が複数指摘されています.
平成28年4月に発生した熊本地震を引き起こした布田川断層帯のM7.0級の地震発生確率は30年以内に1%未満でした. 近い将来の発生の切迫性が指摘されている大規模地震には, 南海トラフ地震, 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震, 首都直下地震, 中部圏・近畿圏直下地震があります. 中でも, 関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ地震と, 首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震は, 今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字で予想されています(内閣府HPより).
ジンバブエ共和国(2009コレラ)の災害派遣からハイチ共和国(2010地震・2011コレラ), フィリピン共和国(2013台風, 2014台風), ネパール連邦民主共和国(2015地震), バングラデシュ人民共和国(2017避難民救援), 東日本大震災(2011), 熊本地震(2016), 台風災害(2016北海道), 平成30年7月豪雨(2018広島), 令和2年7月豪雨(2020熊本)と国内外で医療救援を行ってきた. 想定できた事により対応できたことや想定できなかったことに対しての反省点などあった. この発表を通して皆様の想定内が増え対応の一助となれば幸いです.
PS7-3 豪雨災害時の透析経験 ~福岡県筑後川流域における透析施設の課題を考える~
〇梶原 康矢1) 、石井 栄一1) 、森山 智文 1)2) 、森山 敦夫 1)
1) 医療法人 慈香会 森山内科
2)久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門
【はじめに】 近年気候の変動に伴い, 本邦では毎年全国各地で局所的な集中豪雨が発生しており, 洪水・土砂災害はより身近なものである. 平成29年(2017年)7月九州北部豪雨による当院の被害状況と令和5年(2023年)7月九州北部豪雨までの災害対策・対応について報告する.
【2017年7月九州北部豪雨】 2017年7月5日(水), 福岡県から大分県にかけて発生した線状降水帯により, 突然の豪雨に見舞われ, 当院が位置する朝倉市杷木でも被害が発生した. 筑後川水系である赤谷川上流で山腹崩壊が多数発生し, 大量の土砂や流木が浄水場に流入し埋没したため, 約23日間に渡り給水不能となり通常の外来血液透析が困難になった. 朝倉市の水道課と自衛隊の方々による給水活動により, 他院への通院が困難な患者様の透析治療は行うことが出来た. 当時は当院周辺での被災状況を把握できる情報が少なく, 当院の災害時マニュアルは, 台風接近時の対策のみ作成していた. 豪雨災害の経験は初めてであったため, 迅速に対応することができない場面もあった. 2017年7月九州北部豪雨の経験を基に, 国土交通省のホームページ内のタイムライン(防災行動計画)策定・活用指針を参考にして, 患者さんやスタッフの居住地域や通院・通勤経路を考慮した当院独自のタイムライン(行動計画)を作成した.
【2023年7月九州北部豪雨】 2023年7月10日(月)未明, 線状降水帯による豪雨が九州北部を襲い, 近隣の透析施設が被災した. 福岡県透析医会と連携して, 当院で支援透析を行うことになり, 28名の血液透析患者を受け入れた. 災害発生が月曜日であった影響もあり, 透析間隔が3日空きになった患者さんが最も多かった. 自施設の被災と支援透析, 両方の経験を基に当院を含めた筑後川流域での豪雨災害時の課題と今後の対策を再考する.
PS7-4 災害対策の現状と取り組み~線状降水帯発生による水害を経験して見えた課題~
天神原 崇
久留米大学病院 臨床工学センター
【はじめに】 昨今, 記録的な大雨で九州地方の広範囲に浸水被害が起きており, 当院がある福岡県久留米市に目を向けると2018年より毎年のように大規模な浸水による大きな被害が続いている. 過去の豪雨災害では透析実施に際し土砂崩れ等による通院困難や断水, 施設の浸水といった被害も非常に大きな問題となっている. 今回, レベル5に相当する「大雨特別警報」発生に伴う, 急激な河川の増水による氾濫の可能性が高まり, 当院災害対策マニュアルに沿って緊急回収や垂直避難, また, 透析施設浸水に伴う透析困難者の受け入れを経験した.
【実際の流れ】 災害対策マニュアルに沿って, 災害対策本部が設置され, 高度救命救急センター及び腎臓センターに配置されている医療機器(補助循環装置, 血液浄化装置, 人工呼吸器等)の垂直避難指示を受け他職種と連携し対応した. 短時間での急激な河川の増水に伴う氾濫の可能性を鑑み高度救命救急センター及び腎臓センター患者の垂直避難・透析の中止の指示を受け, 外来透析患者の安全を確保した上で速やかに回収作業を行い, 合わせて夜間クールの透析中止指示を受け対象患者に電話連絡を行った. また, 大規模土砂崩れによる傷病者の緊急透析のために高度救命救急センター及び腎臓センターで連携し受け入れに備えた. 翌日より透析困難となった患者の受け入れを開始した.
【まとめ】 線状降水帯発生に伴う急激な河川の増水による迅速な対応が求められた中で, 災害対策マニュアルに沿って対応を行った. 実際に災害を経験したことで新たな問題点も明確となり, マニュアルの改訂や災害時の体制についての見直しを行うことができ, 災害への意識の向上を図ることができた.



