一般演題2 タスクシフト・HBO

一般演題
座長: 斎藤 謙一いまきいれ総合病院) 
  草野 公史(佐世保市総合医療センター) 

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○江上 智哉、西久保 祐次、竹内 正志、堤 善充
社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室

【背景】
当院では第1種および第2種の両装置を用いて高気圧酸素治療を実施している. 人工呼吸器使用患者の高気圧酸素治療を行う場合, 日本高気圧環境・潜水医学会の安全基準に準じ, ガス駆動方式の搬送用人工呼吸器を用い第2種装置で実施する必要がある.
【目的】
PEEPの付加が可能なスミスメディカル社製搬送用人工呼吸器パラパックplus310(以下パラパック)について, 高気圧環境下におけるPEEP維持および換気性能について評価する.
【方法】
パラパックを調節換気モード, 換気回数15回/分, 一回換気量500mL, 酸素濃度100%, PEEP6cmH2Oに設定し, テスト肺で作動させた. 高気圧酸素治療装置加圧前の大気圧環境下(1ATA), 2ATAまで加圧した加圧後, 1ATAへ減圧した減圧後それぞれにおいてPEEP値, 15回換気における換気量, 換気時間を計測した. 測定は各条件下で5回ずつ行った. なお, PEEPの評価は本体マノメータの他, 呼吸回路に側管を設け接続したカフ圧計, 水深の変化で評価した. 換気量はダイアル式換気量計を用いた.
【結果】
PEEPは環境圧の変化に影響せず設定値を維持できた. 換気量は加圧前7.824±0.03 L, 加圧後4.282±0.02 L, 減圧後7.828±0.06 Lと高気圧環境で減少した. 15回換気に要する換気時間は, 加圧前57.704±0.33秒, 加圧後40.372±0.10秒, 減圧後57.468±0.25秒と高気圧環境で換気時間が短縮した.
【考察】
パラパックは動作原理として配管圧力を内部で一定圧に減圧し, 設定時間送気し換気させる機構を持つ. 環境圧が上昇することで装置内圧との差圧が減少し, 送気流速が減少したことが想定された. 加圧後の換気量を分時換気量に換算すると加圧前の81.3%, 一回換気量で約55%まで減少しており, 加圧時における一回換気量の減少には注意を要する.

【結語】
搬送用呼吸器の高気圧環境下での換気性能変化が確認され, 患者状態変化への影響が示唆される.

○臼木 佑太、田中 光一、坂口 優奈、伊香 元裕
地方独立行政法人 北九州市立病院機構 北九州市立八幡病院 診療支援部 臨床工学課

【背景】 近年, 手術時に使用するさまざまな医療機器の高度化が進んだことにより専門的な知識を要する為, 取り扱いの熟知やトラブル対応ができないなどの問題が生じている. 手術医療の実践ガイドライン改訂第三版(日本手術医学会)や手術室業務指針(日本臨床工学技士会)では, 手術室に臨床工学技士(以下CE)を配置し, 早急に業務確立を進めることが望まれている. CEの需要が高まってきている中で当院でも要望の声があり, 2020年4月より手術室業務を開始した. 3年が経過したため介入してからの取り組みと今後の展望について報告する.

【経緯】 2020年3月までの医療機器管理, トラブル対応は看護師が行っていた. 医療機器の正しい取扱い方やトラブル対応, リスクマネジメントがうまく機能していないことが課題であった. 2020年4月よりCEが手術室業務に介入し, 日常点検, 定期点検, 手術の立ち会い, 保守契約の見直しやトラブル対応を行っている. その後, 眼科手術での器械出しや脳神経外科手術での神経モニタリングを開始した. また, 年に1回業務改善の目的で手術室看護師に対してアンケートを実施した.

【介入後の実績】 手術立ち合いの実績は3年間で鏡視下手術969件, 経尿道的結石破砕術70件, ラジオ波焼灼手術9件, 眼科器械出し147件, 新規導入機器25件, 神経モニタリング27件であった. トラブル対応は3年間で686件行い, 他のCEスタッフも迅速に対応ができるようにトラブルシューティングをまとめた. また, 保守契約を見直すことで年間約300万円の経費削減に繋がった. アンケートの結果, 取り扱いに不安を持つ人が多い機器に関しては勉強会を開催した. またCEに対して器械出し業務を拡大してほしいなどの要望や, 機器に対しての苦手意識が無くなった等の声が挙がった.

【考察】 アンケート結果から, CEの手術室業務への介入が医師・看護師の負担・不安の軽減や安全かつ円滑な手術の遂行に繋がったと考えられる. また保守契約に関与することにより経営の面でも貢献できたと示された. だが, 介入したことで看護師が医療機器に触れる機会が少なくなり, 夜間緊急時に不安を感じることやトラブル対応が出来なくなるなどの問題点が挙がってくる. そのため今後も引き続き定期的な勉強会が必要になってくると考える.

【今後の展望】 手術室業務にCEが関与することの有効性をこの3年間の介入により示すことができた. ただし, 現在のCEが関連する診療報酬の条件でCEを増員できる施設は多くないのが現状である. それでも限られた人員の中でCEが手術室業務に介入し日々奮闘することで手術室におけるCEの存在が必須となれば, 業務拡大や人員増員に繋がる診療報酬改定や臨床工学技士法改正への追い風となり, より一層CEの活躍の場が広がっていくのではないかと考える.

○門田 明日香、小橋 優汰、森田 泰斗、有田 誠一郎
社会医療法人大成会 福岡記念病院 医療技術部 臨床工学室 

【背景および目的】 当院では, 年間20件前後の前立腺生検穿刺術(経会陰式:肛門の少し上の部分に直接穿刺針を刺す方法)を行なっている. 我々臨床工学技士はエコー装置(経直腸エコー)を用いた穿刺位置の確認に対し積極的に関わってきた. そこで今回, 臨床工学技士の前立腺生検穿刺業務を総括したので報告する.

【報告内容】 当院での前立腺生検穿刺術の臨床工学技士業務は, ①エコー装置を手術室へ搬入とセッティング ②経直腸プローブへゴムの装着し固定台にセット ③プローブをポビドンヨードで消毒 ④穿刺ガイドボックスのプローブへの固定 ⑤プローブを肛門へ挿入 ⑥エコー画面に前立腺を描出し固定台の上下左右, 穿刺角度を調整 ⑦穿刺部位を医師と確認し穿刺開始(12~16箇所穿刺) ⑧穿刺部位シートに記入 ⑨穿刺した採取組織をホルマリン容器に入れて病理室に配送までが業務である.

このように前立腺生検穿刺手術全例に臨床工学技士が関わり, エコーを用い穿刺部位確認等をおこなっている. また, 泌尿器科領域において, エコーを用いて腎・尿管結石を確認して破砕術も行なっている.

【結語】 今回は, 当院泌尿器科領域における前立腺生検穿刺業務への臨床工学技士の関わりを報告した. 告示研修も始まり, 臨床工学技士の業務拡大が進められてきているが, 今後, エコーの知識が必要となる業務にも関わっていく必要性があり, 臨床工学技士の更なるエコー知識向上が求められると考える.

○石丸 啓太1)、森 真吾1)、高木 紀人2)
1)独立行政法人 国立病院機構 佐賀病院 臨床工学室
2)独立行政法人 国立病院機構 佐賀病院 泌尿器科 

【はじめに】 臨床工学技士(以下CE)の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修(以下告示研修)が2021年度より開始された. これによりCEも医師の働き方改革や外科系医師不足などへの貢献が求められるようになった. 当院では2018年4月より泌尿器科医師が1名体制になったことにより経尿道的腎尿管砕石術(以下TUL)を中心に清潔野での手術支援業務(以下清潔補助業務)の依頼を受けた. 現在ではTUL以外の手術支援や他科の手術支援も行っている. 当院での清潔補助業務内容や今後の展望を中心に報告する.  

【業務件数と内容】 対象を泌尿器科での手術支援とし, 調査期間を2018年4月から2023年3月までの5年間とした. 手術支援件数はTUL409件, 尿管ステント留置術67件, 内視鏡手術33件, 清潔補助業務13件, その他の手術6件, 合計528件であった. そのうち時間外対応は11件であり全て緊急の尿管ステント留置術であった. 実際に業務を始めるにあたり清潔補助業務は佐賀県内での報告はこれまでほとんどなかったため公社)日本臨床工学技士会の業務指針2010や学会発表, 論文, 書籍等を参考にするとともに実際に清潔補助業務を実施されている施設へ問い合わせなどを行い可能な業務範囲の確認を行った. 教育に関しては現在では告示研修が開催されているが当時はなかったため手術の流れやデバイス, 器械類の説明を医師より直接指導していただき, 清潔不潔の概念やガウンテクニックなどを手術室看護師へ依頼し新人研修と同じ研修プログラムを受講した. 業務内容は主に装置の始業点検から清潔野で術者に機材や診療材料を手渡す行為, 器械の保持や術者のサポート, トラブル対応や滅菌前の点検等である.  

【考察と今後の展望】 CEが清潔補助業務を行うことは高度で複雑化する医療機器, デバイスなどへの対応だけではなく麻酔器や生体情報モニタなど多くの医療機器も手術室では使用されることから術者や周りのスタッフへの安心感や安全性の向上につなげることができると考えられる. さらに経営面や医師の働き方改革にも貢献できる可能性がある. 診療科の垣根を越え組織横断的な仕事ができることも強みの1つであるため様々な理由で医師が不足する場合にもCEが対応できるケースもある. 告示研修受講や活発化する様々な清潔補助業務の学会報告などをきっかけに今年度より泌尿器科だけではなく外科, 整形外科での手術支援を開始したがマンパワーや通常業務の兼ね合いなどにより基本的には長時間の手術や緊急手術などへの対応は行っておらず今後の課題としている. CEが支援できる範囲は限られているがその中でCEによる手術支援介入の有用性をさらに高めていきたい.  

 

赤木 美仁、永迫 弘志、田尻 佳之、横山 聖也、鈴木 智博、松岡 賢一
社会医療法人 同心会 古賀総合病院 ME技術部 

【目的】 当院では2017年に循環器内科拡張と共に, 心臓カテーテル検査及び治療の拡大が行われた. それまでCEは機器管理・記録業務に対応していたが, 要望もありこの機にチームとして業務拡大(タスクシフト)に取り組んだ. 現在, 心臓カテーテル業務へ常駐(検査・治療中)し, 外回りから清潔野助手業務(以下:助手業務)を担うまでとなった. 今回, 業務確立への取り組みに加え, 課題を踏まえ報告する.  

【背景】 循環器内科医師3名, 担当兼務技士3名, CAG≒200件/年, PCI≒60件/年, 検査・治療:2日/週 

【取り組み】 アンギオ業務内容の確認・分担. 外回り・助手業務の参入計画・同意を得, 業務拡大に伴う増員と教育. 業務内容の標準化(マニュアル化).  

【結果・考察】 医師を含む関連スタッフの業務内容を明確化し, 外回り業務から着手し, 必要な勉強会開催, 機器操作を習得し周辺機器操作をマニュアル化した. 
助手業務はCAGから介入し, 物品準備・操作, 造影装置フレーミング操作習得を, 医師・放射線技師協力のもと実施. CE増員は, 評価基準を設け実施し, 外回り業務1名, 助手業務1名(ローテーション)を常駐とした. 
PCI助手業務は担当医師より直接指導を受け, 同時にマニュアル化した. 課題とし, 担当医師により工程や方法に違いがある事や, CE間(他業務を兼任)で技量に差が生じる事もあり, 関与する関係者との打ち合わせと, スタッフ教育や業務体制の改善を要した.  

【結語】 今回, 他部署を含め業務を選別・明確化できた事で医師のタスクシフト及び安定した検査・治療枠の確保, 業務改善に繋がった. また, 業務の標準化は, 個人のスキルに頼るのではなく, マニュアル化し, 改善(更新)していくことが重要である.  

○内藤 翼、佐野 拓哉、田村 実穂、甲斐 崇、香月 一志、山内 大樹
社会医療法人 製鉄記念八幡病院 臨床工学部 

【背景・目的】 近年, 大腸狭窄における内視鏡的ステント留置術が普及してきており, 緩和治療目的(以下, palliative)の悪性狭窄解除や手術を目的とした大腸癌の術前減圧(bridge to surgery:以下, BTS)に有効な手法の一つであると報告されている. 当院消化器内科医は4名常勤しているが, 外来, 通常検査, その他内視鏡治療も並行して実施するため医師の数に制限があった. 
2016年よりステント留置術の直接介助を医師からCEへタスクシフトを行った. 
今回, タスクシフト開始から現在までの成績をまとめたので報告する.  

【方法】 palliative症例, BTS症例の留置成功率, 治療施行時間, ステントの開存期を集計し安全性を評価した.  

【結果】 治療の基本体制は医師, 看護師, CEの3~4名で施行した. 
ステント治療を開始した2016年~2022年までの治療件数は43件であり留置成功は95%, 治療平均時間は25分であった. そのうちpalliative12件, 留置成功100%, 開存期間は中央値121日(29日~665日)であったがうち1件に再狭窄が発生し追加留置を施行した. 11件のpalliative症例においては留置から看取りまでの開存期継続が可能であった.  

BTS群全31件, 留置成功90.3%, 途中撤退による留置不成功が9.7%であった. 留置成功により緊急手術が回避できたが不成功例では当日に緊急手術を施行した. ステント留置成功によるBTS症例の手術待機期間中の平均日数は20日でその間穿孔や逸脱, ステント再閉塞等の機能不全といった合併症はみられなかった.  

【考察】 治療の直接介助をCEが担うことで医師の負担, 看護師の采配の負担が軽減できたと考える. BTS症例では緊急手術から待機期間への移行が可能となり患者QOLに大きく関与した. またCEがERCP関連手技を多く経験しており, 手技の中で処置具操作がスムーズに展開でき治療時間短縮, 処置具起因の穿孔といった合併症防止に大きく寄与できたと考える.  

【結語】 ステント留置術の治療介助をCEへタスクシフトすることで安全な治療が可能であった.  

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