| 座長: | 山内 隆詞(宮崎県立宮崎病院) |
| 出水 拓也(宮崎県立延岡病院) |
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O3-1 薬剤コーティングバルーンカテーテル(DCB)使用における再狭窄の原因と検討
○青柳 諒香1)、渕上 苗世1)、木室 康隆1)、本田 貴之1)、時任 義臣1)、
吉戒 理香2)、小柳 徳明
1)社会医療法人 天神会 新古賀クリニック 臨床工学課
2)社会医療法人 天神会 新古賀クリニック 腎臓内科
【目的】 DCBは透析患者のAVFの開存期間の延長が期待されており,当院でも頻回にVAIVTを繰り返す患者にIN.PACT AV薬剤コーティングバルーンカテーテル(Medtronic)を使用している.今回,DCBの治療成績を後ろ向きに検証するとともに,短期間で再治療となった症例について再狭窄の原因を検討した.
【方法】 2021年7月から2023年7月までにDCBを初回使用した15症例のうち,従来から使用しているバルーンカテーテル(non-DCB)使用群とDCB使用群において治療間隔の比較を行った.
【結果】 治療間隔は,non-DCB群;117.9±66.7日に対してDCB群;253.5±130.4日とDCB群が有意に延長した(P<0.05). DCB治療後の治療間隔は90日以内が2名,90~180日が3名,180~360日が6名,1年以上が1名,1年以上治療なしが3名であった.
【症例】 症例①;80歳代男性.透析歴20年.原疾患DM性腎症.開存期間91日.再狭窄は DCB拡張部と異なる部位でDCB拡張部位は開存していた.症例②;60歳代男性.透析歴1年未満.原疾患DM病性腎症.開存期間75日.再狭窄は血管攣縮と内膜肥厚による複合型が原因であった.
【考察】 DCB使用によりAVFの開存期間が延長したことから,DCBの再狭窄部位への再治療回数の低減が明らかであった.一方で,90日以内の短期間で再治療となった2症例を経験した.1症例はDCB拡張部位とは異なる再狭窄であったものの,もう1症例は同部位での再狭窄であり,内膜肥厚による狭窄に対しては有効であったと思われたが,血管攣縮が原因で治療に至ったと考えた.DCBにおいてはAVF開存期間が1年以上延長した著効例もあり, 症例検証を継続して有効性の検討を継続したい.
【結語】 当院でのDCB使用において早期に再狭窄の起きた原因は血管攣縮であった.
O3-2 V-A ECMOでの早期に血漿リークを認めた症例
○岸川 源直、三坂 琳久、森下 世紀、土谷 真基
医療法人徳洲会 福岡徳洲会病院 臨床工学科
【緒言】 膜型人工肺(ECMO)の機械的合併症としてガス交換能の低下. 血栓形成. 血漿リークなどがあげられる. 今回V-A ECMO導入後に血漿リークをきたし. 回路交換を実施するも早期に再リークを認めた症例を経験したので報告する.
【症例】 79歳 男性. 他院で維持透析中に胸痛を訴え血圧低下. ACS疑いで当院救急搬送となった. 緊急カテーテル室到着時にPEAとなりCRP施行. 気管挿管とテルモ社製CAPIOX LXにてV-A ECMO導入した. CAGでは有意狭窄を認めず. 後負荷軽減のためImpellaを追加した.
【経過】 ICU帰室後CHDFを開始. 第4病日に黄疸を認めた. 第6病日より人工肺から血漿リークを認め. 泉工社製メラエクセラン回路HP2へ交換を実施. しかし翌日. 人工肺から再度血漿リークを認めた. 幸いFIO₂増量にてガス交換能は維持できており. 現行ECMO回路のまま治療継続. 第8病日. 意識・心機能改善が乏しいためDNARの方針となり. 第11病日に多臓器不全で死亡退院となった.
使用した人工肺は. 血漿リークの精査のため. それぞれの製造元に提出し調査をおこなった.
【結果】 両人工肺とも血漿リークが認められ. 現行品及び製造記録等に異常は認められなかった. いずれも血漿リークの直接的な原因は. 明らかにはできなかった.
【考察】 多孔質膜型人工肺は. 膜へのリン脂質の吸着や. 高ビリルビン血漿により疎水性が低下し血漿リークが発生すると報告されている.
今回使用した人工肺は. 複合膜. 非対称膜であり. 血漿リークに強い構造とされているが腎・肝障害を合併した患者では. 早期に血漿リークが発生することが示唆された.
血漿リークは. ガス交換能の低下や凝固因子の低下などさらなる合併症に繫がるため. 早期の発見. 対応が重要と考える. しかし血漿リークの評価は. 個人的な主観に左右されるため. 客観的な評価法が課題である.
【結語】 腎・肝障害を合併した場合. 早期に血漿リークを発生する可能性が示唆された.
O3-3 心臓アブレーション業務の負担軽減に対する取り組み
○河村 優風1)、樫本 文平1)、森 雄太1)、土屋 裕1)、土居 寿志2)、武野 正義2)、
1)長崎みなとメディカルセンター 臨床工学部
2)長崎みなとメディカルセンター 心臓血管内科
【はじめに】 当院は2016年4月から2021年6月まで心臓アブレーション治療を行っていたが, 医師の異動により業務が休止していた. しかし今年度より専門医が異動されてきたことで, アブレーション業務が約2年ぶりに再開されることになった.
【目的】 アブレーション業務を再開するにあたり, 以前と同じ配置では術前の準備が煩雑で時間がかかっていたためスタッフの負担軽減を目的として以下を検討した.
①使用機器の配置や配線②滅菌ケーブルの管理方法
【方法】 使用機器や配線のレイアウト案をいくつか考え, 医師・看護師とともに適切な配置を検討した. 配線については当院の施設課, 滅菌ケーブルについては中央材料室と協議した.
【結果】 3Dマッピング装置や心内心電位記録装置, 心臓電気刺激装置の配置は操作者が検査中にも透視画像を見ながら術者とディスカッションができるような変更を行った. 配線はカテーテル検査室内の床下を這わせることで, 以前は術前に一つずつ接続していた配線ケーブルを繋げたままにすることが可能となった. 滅菌ケーブルは当院の滅菌管理システムに登録し, 使用回数をシステムで管理できるようにした. カテーテル室への返却後は各々の名前が書かれたコンテナに収納し視覚的に分かりやすくした.
【考察】 配線ケーブルは準備にかかる時間を短縮しただけでなく, 断線や差し間違いの防止にもなっていると考えられる. そのため, 一日に複数の症例がある場合でも次の症例の待ち時間が短縮された. 配置の変更によって術野の状況把握が容易になり, 術中の方針変更にも対応しやすくなった. 滅菌ケーブルは各ボックスに仕分けしたことで, 術中の出し間違い防止や術前の準備段階で不足しているものを把握しやすくなったと考える.
【まとめ】 アブレーション業務に対して様々な方向で見直しを行ったことで従事するスタッフの負担を軽減することができ, より安全に治療を行うことに繋がった.
O3-4 冠動脈内の血液平均移動時間測定における測定ワイヤー固定位置の影響実験評価
○中村 拓也1)、佐々木 健一郎1)、山本 ひかる1)、加藤 暢乃1)、石井 義和1)、毛利 将大1)、
中野 仁晴2)、吉賀 巧2)、光武 良亮2)、杉原 学1)、山下 典雄3、
1)久留米大学病院 臨床工学センター
2)久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門
3)久留米大学病院 臨床工学センター センター長
【はじめに】 最近注目されている狭心症の病態概念ischemia non-obstructive coronary arteries(INOCA)の診断には, 圧・温度センサー(2点間)付きガイドワイヤーを用いた心臓カテーテル検査による冠血流予備能と微小血管抵抗指数の算出が必要である. これらの算出には冠動脈を流れる血液の平均移動時間(mean transit time;Tmn)を熱希釈法で測定する必要があるが, カテーテル先端から遠位側温度センサーまでの距離次第では, 同じ血管でもTmn測定が異なるかもしれない. 今回我々の施設で使用しているCFRシステム回路と模擬循環回路を使用し, 測定に与える影響を実験し評価したので報告する.
【方法】 人工心肺回路機器を利用した模擬冠動脈および循環回路を作成し, 冠動脈入口部にカテーテル先端を固定後, 模擬冠動脈チューブ内の3点(カテーテル先端から5,10,15cmの位置)で測定したTmn値を測定した. 回路内の定常流循環水量を1.0~5.0L/minで変化させ, 測定する際のチューブ内への冷却水注入を異なる7名で行った. 群間統計比較はSteel-Dwass法を用い, 危険率0.05とした.
【結果】 5-10cm,5-15cmの位置間では, 全ての水流条件でTmn測定値(秒)に有意差は認めなかった. 一方, 10-15cmの位置間においては, 全ての水流条件で有意差を認めた(1.0L/min;0.16±0.07(meanSE)vs.0.46±0.07,p<.05, 2.0L/min;0.11±0.05vs.0.21±0.01, p<.05, 3.0L/min;0.08±0.03vs.0.14±0.04,p<.05, 4.0L/min;0.07±0.01vs.0.10±0.02, p<.05, 5.0L/min;0.05±0.01 vs. 0.01±0.03, p<.05)
【考察】 10-15cmの位置での測定によって通過時間に有意差があった事から, ガイドカテーテルからの距離が10cmよりも遠くなると, 冷却水の温度も平衡化しやすく, 遠位側での温度変化の信号の強弱にばらつきが大きいのではないかと推測された. また, 遠位側の温度センサーが10cmの位置においては, 5cm又は15cmの位置と比較して通過時間にばらつきが少なく安定傾向にある事が確認されたことから, 熱希釈による測定距離においては, 遠位側のセンサーが10cm前後で比較的安定した時間が測定される可能性が示唆された.
【結語】 カテーテル先端からガイドワイヤー温度センサーまでの距離が遠くなると, Tmn測定値が不正確となり, INOCA誤診につながるかもしれない.
O3-5 潜在性WPW症候群のAVRTに対しOpenWindowMappingが有効であった1例
樫本 文平1)、河村 優風1)、森 雄太1)、土屋 裕1)、土居 寿志2)、武野 正義2)、
1)長崎みなとメディカルセンター 臨床工学部
2)長崎みなとメディカルセンター 心臓血管内科
【はじめに】今回CARTO3(Ver.7.1)の機能を用いて潜在性WPW症候群の房室回帰性頻拍(以下AVRT)の右側副伝導路(以下Kent束)を描出し可視化することができた症例を経験したので報告する。
【症例】患者は50歳代女性。20程年前に他院にてWPW症候群、AVRTに対しアブレーション術を施行され以後頻拍発作なく経過されていた。2022年より頻脈発作が頻発し動悸出現時にベラパミルの頓服もされていたが改善乏しく、その都度当院の救急外来でATP10mgIVでの停止を繰り返していた。
【EPS】電気生理学的検査による心室連続刺激での最早期VA伝導部位はHis電位だった。心室期外刺激では減衰伝導特性は伴わないままJump up現象を認めた。心室連続刺激または心房連続刺激では頻拍誘発に至らなかった。心房期外刺激では減衰伝導特性を伴ったがJump up現象は無かった。だが特定のZoneをもって発作性上室性頻拍(以下PSVT)が誘発され、PSVTの最早期はCS入口部だった。以上から逆行性VA伝導はJump up前の伝導路で右室側の潜在性 Kent束を疑ったのでHalo20極を留置した。Halo留置後のRVA pacing下での最早期VA伝導部位は右下側壁に認められ、逆行性VA伝導が右室側の潜在性Kent 束だと断定することができた。また当初認めたJump up所見はKent束の不応期によりVA伝導が房室結節に移行した所見であった。
【ABL】CARTO3、Pentaray Catheterを用いてRVA pacing下にてOpen window Mappingを行いActivation Mapを作成した。Map作成後 Early Meets lateのLower Thresholdを20%に調整し、Ripple Mapも用いることでKent束の伝導部位を同定できSmart Touch SFにて焼灼を行いVA Kent束の離断が認められた。
【考察】従来では透視と心内心電位の情報を用いて焼灼部位を決定していたが、同時に3DマッピングシステムのEarly Meets lateやRipple Mapを用いることでKent束の伝導部位を同定し、可視化することで治療のサポートができたと考えられる。
【まとめ】今回3Dマッピングシステムを用いてMappingを行うことで伝導部位を可視化することができ容易にアブレーションの手技を行うことができた。
O3-6 ATP Optimization機能により心室頻拍の早期停止が得られた1例
○出水 拓也、中西 清隆
宮崎県立延岡病院 臨床工学科
【目的】Biotronik社のATP Optimization機能は過去の治療実績をもとに、ATPのシーケンスを自動的に成功率の高い順番に並び替える機能である。今回、ATP治療が不成功となりショック治療まで至った繰り返す心室頻拍に対して、ATP Optimization機能を用いて早期停止が得られた症例を経験したため報告する。
【症例】特発性拡張型心筋症の64歳男性。2022年10月に心室頻拍に対してICD植込みを行った。退院後は遠隔モニタリングにて経過観察していたが、2023年2月に心室頻拍に対してショック治療が入り、再度入院することとなった。確認すると、退院時と比較して心室頻拍周期とPost Pacing Interval(PPI)が変化していたため、頻拍停止に必要なパルス数が足りていない可能性を考え、パルス数を変更した。また、BurstよりもRampの停止率が高かったため、1回目ATPをRampに、2回目ATPをBurstに設定変更した。その後はショック作動ないものの、Rampの1Seqでは停止できず、最長で4Seqでの停止となっていたため、早期停止を狙いATP Optimization機能をONにした。
【結果】ATP Optimization機能設定前は心室頻拍が35回発生し、うち18回が4Seqで停止しており、頻拍停止までの平均時間は35秒となった。設定後は心室頻拍が19回発生し、2回目以降のATP治療は全て1Seqで停止しており、平均14.2秒で頻拍停止が得られていた。また、頻拍に伴う胸部絞扼感も軽減していた。
【考察】心室頻拍の持続時間が長くなると、動悸や失神などの症状や心不全増悪などのリスクが高まるだけでなく、心室細動への移行やATP成功率の低下、Accelerationリスクの増加などの報告もある。今回の症例ではATP Optimization機能により、心室頻拍の早期停止が得られたことで、頻拍の持続時間が短縮され、症状軽減にも繋がったと考える。
【結語】今回ATP治療が難渋する繰り返す心室頻拍に対してATP Optimization機能が奏功した症例を経験した。早期の適切なATP治療によりATP成功率が向上し、症状の軽減にも寄与したことから、ATP Optimization機能が有効な症例であったことが示唆された。



