座長:長山 雅貴(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)
千々岩 俊祐(佐賀市立富士大和温泉病院)
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O4-1 V-60(NPPV専用機)とハミルトンC-1(NPPV)での努力呼吸変化
○加藤 佑、福島 卓馬、山中 貴仁
福岡和白病院 臨床工学科
【はじめに】 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2023年現在, 5類感染症に分類されたが当院でも受け入れはつづいている.
新型コロナウイルス感染症診療の手引きのガイドラインにおいて低酸素血症による呼吸不全に対し鼻カニューラでSpO2 93%を維持できない場合, 高流量鼻カニューレ酸素療法(NFNC), 非侵襲的陽圧換気(NPPV), 挿管の治療を推奨している.
当院ではハミルトンC-1をNPPV仕様として使用している.
臨床でNPPV使用中に呼吸困難感がみられると理学療法士の方から話があった. 調べた所NPPV専用機と専用機でないものの呼吸困難感に対しての比較データは無い.
そこで今回, モデル肺を用い, NPPV専用機であるフィリップス社製V60と日本光電社製ハミルトンC-1での呼吸様式を数値化し呼吸困難感の原因を考察した.
【目的】 当院において, NPPV専用機と専用機でないものでの努力呼吸における補助換気についての検証を行った.
【方法】 モデル肺を用い同条件に設定. V60とハミルトンC-1それぞれの努力呼吸におけるピーク圧に関し測定した.
【結果】 V-60とハミルトンC-1での比較では呼吸時のピーク圧に関してV-60の吸気努力が少なく補助換気が行えていた.
【考察】 V-60では回路が1本回路になっており呼気等全て, 常にマスク等から排出される. リークを容認, 補うような動作のため, 呼気抵抗が少ないと考えられる. また, 吸気においてはNPPV専用機の特徴である大容量のブロアーがすぐに反応する事で, 気道内圧を下げず吸気に追従出来ると考えられる. それに対しハミルトンC-1では回路が2本回路の為呼気弁から排出され, 患者の呼気努力が生じたと考えられる. 吸気に関しては, 口元にフローセンサーがある. ブロアーの性能に違いがあるのではないかと考えられる.
【結語】 呼吸筋が弱い患者へは専用機の使用で努力呼吸を抑えて呼吸を促せる可能性がある.
ハミルトンC-1では呼気回路から呼気弁部の呼出力が必要で呼吸筋が弱い患者への使用に注意が必要.
ハミルトンC-1は挿管から非挿管までのモード選択が行えるので適宜選択する必要がある.
O4-2 振動メッシュ式ネブライザ併用における呼吸器回路の安全性の検討
○中島 高博、福元 栄一郎、中村 勇太、大野 拓真、岩永 憲幸、早崎 裕登、佐潟 芳久
鹿児島大学病院 医療技術部 臨床工学部門
【背景】 振動メッシュ式ネブライザは, 気管支拡張薬や去痰薬等の薬剤を吸気ガス中に混合することによって薬剤吸入効果を高める機器であるが, 投与薬剤の目詰りによる呼気フィルタの閉塞や分泌物による回路内閉塞などのリスクもある. これまで当院では, 患者側のYピースと吸気側回路の接続部(口元側)より薬剤投与し, 1回/日の呼気フィルタ交換および1週間毎の呼吸器回路交換を実施してきた. しかし近年, 呼吸回路内及び呼気フィルタへの薬剤吸着の観点からネブライザの投与箇所は加温加湿器チャンバ入口側(ドライ側)が推奨されている.
そこで今回, ネブライザ投与箇所の違いによる呼吸器回路の安全性についてin-vitroにて検討を行った.
【使用機器および方法】 使用機器は, 人工呼吸器:ART-300(アコマ社製), 加温加湿器:MR-850(Fisher&Paykel社製), 呼吸器回路:成人用呼吸器回路Evaqua2 RT-380(Fisher&Paykel社製), 呼気フィルタ:サーボガードWT(MAQUET社製)とした. 人工呼吸器設定は, 一回換気量:480ml, f:12回/minとし, 加温加湿器はAutoモードとした. また, ネブライザの薬剤投与は, ブロムヘキシン塩酸塩0.2%(2mg/ml)3回/日を14日間行い, ドライ側と口元側, それぞれの投与方法による呼吸器回路への影響を検証した.
【結果】 投与開始時, 7日後, 14日後の最高気道内圧(cmH2O)は, ドライ側が24, 24, 23.6であり, 口元側は21.9, 23, 23であった. 呼気抵抗(cmH2O/L/S)は, ドライ側が11, 12, 13であり, 口元側は11, 12, 13であった. また, 開始14日後の結露量(ml)は, ドライ側が呼吸器回路:43.1, 呼気フィルタ:7.4であり, 口元側は呼吸器回路:37.4, 呼気フィルタ:7.4であった.
【結論】 今回の検証条件において, ドライ側, 口元側ともに14日間の使用が可能であり, 添付文章通りの回路交換頻度であっても大きな問題はないことが確認できた. 患者への薬剤到達量や回路外れのリスク等を考慮すると, ドライ側での投与が望ましい.
O4-3 新規NPPVマスク選定とCEの関わり
○小野 浩平、廣瀬 希美、加藤 直道、遠藤 千鶴、中田 正悟、西林 美憲、溝口 貴之
大分大学医学部附属病院 医療技術部 臨床工学・歯科部門
【背景】 当院では非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)は年間50例程度あり, CEはNPPV導入時にNPPVマスク(マスク)サイズ選択やフィッティングの確認, 機器のチェックなどを行い, 日勤帯にはラウンドを行っている. 今回PHILIPS社製ジェルフルフェイスマスク(AE811)製造販売終了に伴い, 新たにFisher&Paykel Healthcare社製 Nivairo(RT045)を選定したのでその過程を報告する.
【目的】 マスクの製造販売終了に伴い既存のマスクと比較して, CEが計6社8種類のマスクから選定することを目的とした.
【方法】 1次選定では, CEが全8種マスクサイズの種類, ジェル, 窒息防止弁, 呼気ポートの有無, 重さ, 価格, その他特徴等の内容をまとめ, 選定した. 2次選定では, 1次選定を基に褥瘡専任Nrsを交えて検討し選定した. 3次選定ではCE 5名を対象にフィッティング感と着けやすさを実践で行い, 点数化し評価を行ったのちに看護部と協議して選定した. また選定したマスクを臨床使用したのちにアンケートを取り最終評価を行った.
【結果】 1次選定で類似商品の除外, コスト,や機能性を理由に6種類へ選定した. 2次選定でフィッティング部の柔らかさなどから4種類に選定した. 3次選定でフィッティング感と着けやすさの評価では2社のマスクの評価が高く, 看護部との協議ではフィッティングや胃管チューブ用の溝がありリークが抑えられる点などが評価され, 総合的に判断して選定した. マスク選定期間は約2ヶ月だった. アンケート結果からリーク量が安定している点や褥瘡軽減につながるなどの声があげられた.
【考察・結語】 今回のマスク選定ではCEと他の専任Nrsが関わったことで様々な意見を聞くことができ, 多職種で当院のニーズにあったマスク選定ができたと考えられる. またCE中心に行うことで限られた期間で円滑にマスク選定が行えた. しかし, 臨床での使用経験がまだまだ少ないため, 今後発生する諸問題などに注視していきたい.
O4-4 人工呼吸器離脱にPAV+が有用であった一例
○森下 世紀、岸川 源直
医療法人徳洲会 福岡徳洲会病院 臨床工学科
【緒言】 Proportional Assist Ventilation Plus(以下PAV+)は従来の人工呼吸器のモードとは異なり, 患者の換気メカニクスを持続的にモニタリングすることで呼吸仕事量に対し必要なサポートをおこなうモードである. 今回人工呼吸器離脱においてPAV+が患者呼吸状態の評価に有用であった症例を経験したため報告する.
【症例】 70代女性. うっ血性心不全・肺炎の診断にて入院. 入院翌日, 呼吸状態悪化のため挿管管理目的にICU入室となる. 心不全・肺炎加療にて状態軽快し, 人工呼吸管理6日目よりweaningを開始した.
【経過】 管理8日目にCPAP+PSV (PEEP:6cmH2O, PS:6cmH2O, FIO2:0.4)に変更し換気量は十分に確保できていたが, 換気メカニクス評価目的にPAV+(%Supp:60%, PEEP:6cmH2O, FIO2:0.4)へモード変更した. 結果, CPAV:24mL/cmH2O, RPAV:13 cmH2O/L/s, WOBTOT:1.8J/LとCPAP+PSVでは確認できなかったコンプライアンスの低下, レジスタンスと呼吸仕事量の増加を認めた. 管理9日目にSBT開始し連日実施したが咳嗽反射低下や呼吸筋運動低下の所見あり人工呼吸器離脱できず気管切開の方針となる. その後, 日中はPAV+を用いて適切な呼吸仕事量を維持しながら%Suppを下げリハビリ継続, 管理20日目に気管切開, 21日目に人工呼吸器離脱となる.
【考察】 PAV+を用いた人工呼吸管理では換気メカニクスを持続的にモニタリングすることで患者状態を把握でき, 呼吸仕事量に対して適切な補助をおこなうことができる. 本症例ではCPAP+PSV使用時に十分な換気量が確保でき人工呼吸器離脱基準に相当する状態であったが, PAV+を使用することでパラメータの悪化を確認でき, その後の円滑な人工呼吸管理に寄与できたと考える. また近年, 横隔膜機能不全は人工呼吸管理期間の延長に関連するとの報告があるが, PAV+では適切な補助による呼吸筋運動を促進することで横隔膜機能不全を予防できる可能性がある.
【結語】 PAV+が有用であった症例を経験した. 人工呼吸器離脱においてPAV+が有用であるか今後も症例を重ねて検討していきたい.
O4-5 酸素ボンベ用圧力調整器「カルミアG」の評価
大石 杏衣
Kiwi
【はじめに】 酸素ボンベ(以下,ボンベ)はあらゆる医療現場で⾝近に使⽤される医療機器の⼀つである. しかし, ボンベ⽤圧⼒調整器(以下,調整器)の操作とともにインシデント・アクシデント事例が後をたたず, (財)⽇本医療機能評価機構や PMDAから繰り返し安全情報が出ている. インシデント・アクシデント事例では, 酸素ボンベの開栓忘れ, 流量調節忘れ, 残量切れだけでなく, 酸素ボンベ転倒やボンベ交換時や使⽤時の操作性等の様々な要因があり解 決への課題は多い. 今回, 残量アラーム, 視流計を備えた調整器, 武蔵医研社製「カルミアG」の安全性と操作性を評価したので報告する.
【⽅法】 重さ, ボンベ装着時の安定性, デザイン, 安全機能, 操作性について評価した.
【結果】 重さは約350gと軽量・コンパクトで着脱しやすかった. また, ボンベ装着時に重⼼が⼤きく傾くことなく安定性が良かった. 流量表⽰, 圧⼒計, 視流計, 酸素チューブ接続部が⼀度に⾒渡せるため, 操作, 確認がしやすかった. さらに, 残量アラームは電池や事前の設定を必要としないタイプで, 残量が3MPa 以下になるとホイッスル⾳で知らせる仕様であった.
【考察】 軽量・コンパクト化によるボンベ転倒リスクの軽減や, 操作者視点のデザイン, 視流計・残量アラームを搭載した調整器は医療安全⾯からも有⽤であると思われる. カルミアGの残量アラームはホイッスル⾳で知らせるタイプであり, ⾳の意味がわからず対応できない可能性は⽰唆される. 院内研修等で操作⼿順だけでなく各機能の意味を継続的に周知することが重要であると考える. また, 調整器はミス・事故が起きやすい機器だからこそ, 操作性と安全性を備えた機種への買替えや統⼀も医療安全⾯から考慮すべきであると考える.
【結語】 安全性と操作性を備えた調整器カルミア G の評価を行った. 今後, 臨床での安全性と操作性を含めた評価も⾏っていきたい.
O4-6 当院における看護師・臨床工学技士による「人工呼吸管理サポートラウンド」の活動報告
○冨重 明弘、高橋 瞬、定松 慎矢
九州大学病院 医療技術部 臨床工学部門
【はじめに】 当院では, 人工呼吸器やHFNC(High Flow Nasal Cannula)を装着し, 一般病棟で人工呼吸管理を行う患者が増加傾向にある. NHFCの普及が背景にあり, 患者の治療効果が向上した一方で, 病棟看護師にとって機器を装着した患者へ安全で質の高い医療を提供することへの業務的・精神的負担も大きくなった. 当院の基本方針である「より高い医療安全の追求」の一環として, 人工呼吸器等を使用する患者に対し, 令和4年9月より看護師と臨床工学技士による「人工呼吸管理サポートラウンド」を開始したので報告する.
【目的】 看護師と臨床工学技士によるラウンドを行うことで, 人工呼吸器等を使用する患者に対して, 医療安全の確保と, 質の高い呼吸ケアのサポートを行う.
【方法】 対象部署は集中治療部, 救命ICU, NICU, GCUを除く入院病棟すべてとし, 対象患者は人工呼吸器装着患者(NPPV含む)HFNC装着患者とした.
【結果】 開始後5ヶ月のラウンド件数は65件だった. 内訳は人工呼吸器(挿管)38件, HFNC 26件, NPPV 1件であった. 指摘や指導が多かった内容は, 気管カニューラの固定方法, 加温加湿器用滅菌蒸留水の管理不足, 生体監視モニターの適正アラームの設定忘れが多かった.
【考察】 医療法の改正により, 計画的に人工呼吸器の勉強会を実施しているが, すべての病棟看護師が呼吸管理に精通しているわけではない. 定期的にラウンドを行うことで医療安全の確保と, 質の高い呼吸ケアのサポートができた. 今後は, 生体監視モニターのアラーム設定や看護師のアラーム疲労の軽減対策など, 生体情報モニターの体制整備を検討していく.
【まとめ】 一般病棟では人工呼吸器・HFNCの管理を安全に実施することが重要である. 看護師と臨床工学技士それぞれの目線で起こりうるインシデントを想定し, 日常的な管理を徹底していく必要がある. 今後も継続した運用を図り, 患者の安全・安心の診療提供に貢献していく.



