| 座長: | 内田 耕司(朝日野総合病院) |
| 福島 克也(健和会大手町病院) |
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O5-1 対面と遠隔を利用した臨床実習教育の検討
◯佐藤 綾1)、鳥居 徹也1)、綿引 哲夫2)、泉 隆1)、
1)東海大学文理融合学部 人間情報工学科
2)東海大学工学部医工学科
【背景・目的】 教育機関での遠隔ツールの利用は,新型コロナウイルス感染症への対応として急速に普及し,臨床実習の教育にも転機を与えた.本学は,臨床実習の学生指導のみならず,臨床実習施設の評価表に遠隔ツールを利用している.今回, 臨床実習における遠隔ツールの活用と新教育カリキュラムの施行に向けた今後の課題を検討したので報告する.
【遠隔ツールの活用】
1.臨床実習施設の評価表
本学では, 2021年度より熊本県内外の臨床実習施設の評価表に電子媒体を導入した.電子媒体は,Microsoft Forms,PDFを利用している.電子媒体を用いる利点として,施設側は各分野の評価者が評価や意見を簡単に入力し送信できること,大学側は結果をデータとして一元管理できること等が挙げられる.最終評価結果は,PDFファイルとして臨床実習施設内の実習責任者が確認できる形式とした.
2.事後指導のグループワーク
本学は,実習生の事後指導にグループワーク(GW)を採用している.GWの作業手順の最後に,プレゼンテーションを実施している.プレゼンテーションでは,遠隔地の校舎に勤務する他学部の教員が遠隔で質疑応答に参加している.
【新教育カリキュラムに向けた今後の課題】 臨床実習施設の評価表として電子媒体を利用することは,今後も継続していく予定である.今後は臨床実習施設とファイル共有を可能とする事で利便性が高まるものと考える.また,GWでは,遠隔であっても他学部教員が参加することで,実習生に一定の緊張感が与えられ,GW全体が活性化したと考える.新教育カリキュラムの下での臨床実習は,より実学に基づいた指導が必要となる.OSCEの導入も検討中であるが,事前指導から事後指導に至るまで臨床実習施設との連携を密にすることが重要である.新教育カリキュラムでは,臨床実習施設に協力を仰ぎ,対面と遠隔を上手く活用した指導体制で教育効果の向上を目指す.
O5-2 ChatGPTは臨床工学技士の統計解析に対するストレス軽減に役立つか?
宮田 賢宏
帝京大学福岡医療技術学部、帝京大学大学院総合データ応用プログラム
【はじめに】 学会発表や学術論文を執筆する際の統計解析にストレスを感じている臨床工学技士は少なくない. OpenAIによって開発されたChatGPTは, 既に様々な分野で利用されており, 研究領域においても研究者の負担を軽減するツールとなる可能性が示されている.
【目的】 本研究の目的は, ChatGPTが臨床工学技士の統計解析に対するストレス軽減に役立つかどうかを検討することにある.
【方法】 対応の無い2群のデータを用いて, ChatGPTに『群間の差について, データをまとめて発表したい. 全部, やってください. 』と統計解析を丸投げした. 次に, 統計解析の手順を示したフローシートに同様のデータを当てはめ, ChatGPTと対話しながら解析を進めた. ChatGPTはGPT-4, フローシートは自らが作成し日臨工eラーニングなどでも紹介したフローシートの改訂版を使用した.
【結果・考察】 統計解析を丸投げした場合, ChatGPTはでたらめな回答とその回答に至るでたらめな根拠を示した. フローシートを用いた場合, ChatGPTはデータの要約, 検定手法の選択, 検定結果とその解釈などについて妥当な回答を示した. また, 要約統計量やP値の算出などが必要となった際には, 統計ソフトRで解析を実施するためのコードが示され, これをChatGPTからRにコピペするだけで, 容易に希望する結果が得られた. ChatGPTの説明に従うことで, 初心者でもストレスなくRを使用することができた.
【まとめ】 ChatGPTを上手く活用すれば, 臨床工学技士の統計解析に対するストレスを大幅に軽減することができる. 今回は差の検定について示したが, 基本的な統計解析については, ほぼ同様の結果が得られている. ただし, 世の中の流れは早い. ChatGPTの回答も刻々と変化している. 今この瞬間にも, この発表内容が時代遅れとなっている可能性も否定できない.
O5-3 インシデントレポートによる転倒転落の特徴とCEの介入の可能性
○本多 俊治、藤澤 真弓、阿南 みと子、佐藤 文憲
医療法人 別府玄々堂 別府湾腎泌尿器病院
【目的】 インシデントレポートは記録という点において非常に重要な役割を担っている. 一方, テキスト(文章)であるため定量的な分析は困難である. 今回, 文章から転倒転落(転倒)に関する定量的な分析をテキストマイニングによって行い, その結果を元にCEによる貢献も考察した.
【方法】 まず, 全レポートの発生要因を形態素解析により単語に分解し, 頻出単語と単語間のつながりを確認した. そして各単語の重要度を評価するために, TF-IDF値を計算し, レポート番号を行, 全単語を列としたTF-IDF行列を構築した. その後, TF-IDF行列を元にクラスターに分類しパターンを分析した. また, CEとしての貢献を考察した.
【結果】 転倒に関するレポートは136であり, ユニークな520語に分解された. 患者, ベッド, トイレといった単語が頻出しており"患者"と"トイレ", "患者"と"ベッド", "トイレ"と"行こ"などのつながりが確認された. クラスター分類における転倒パターンはトイレが強く関連するものとそうでないものに大別された. 更に後者は3分割され, その内の一つは離床センサーとの関連が強かった.
【考察】 今回の手法により従来困難であった文章群の定量的な情報抽出が可能となり具体的な特徴が可視化された. これによりCEの介入ポイントも具体化されたと考察している. 具体的な貢献方法はセンサーマットの適正な運用である. 離床センサーが関係しているクラスターでは電源, スイッチ, 設置など機器の使用に関連する単語の重要度が高かった. そのため機器管理を生業とするCEが離床センサーの運用を通じて貢献できる可能性は高いと考察する.
【結語】 今回の結果は転倒におけるインシデントの分析においてテキストマイニングが効果的であることが示唆された. 今後はさらなるデータの収集と分析の拡充により詳細な転倒パターンの把握やCEの貢献方法の洗練化を目指す.
O5-4 若年層におけるミクロアルブミン尿有病率の検討
佐藤 正広
学校法人帝京大学
【背景と目的】 本邦における透析患者の原因疾患は約40%が糖尿病による慢性腎臓病であり, 透析患者を減らすには, 糖尿病患者を減らすことが有用である.
したがって, 糖尿病が発覚する前の段階で, 早期にその予備群を発見し, 糖尿病に至らしめないことが最大の予防医学といえる. 微量アルブミン尿検査は糖尿病のスクリーニングに使用されるが, 演者は自身の先行研究において40歳以上の糖尿病歴のない一般住民に同検査を施行した結果, 男性で20%, 女性で10%の有病率であったとの結論を得ている.
しかし, この結果は40歳以上の中高年層の結果であり, 若年層を対象とした研究は見当たらないことから, 若年層特に20歳前後世代における糖尿病予備群の早期発見に寄与することを目的とした.
【対象と方法】 対象は, 帝京大学福岡キャンパス臨床工学コースの学生で, 研究参加に同意を得た学生50名にミクロアルブミン尿検査を行った.
方法は, 随時尿を検体とし, 尿中アルブミン/クレアチニン測定アナライザーDCAバンテージを使用した.
なお, 本研究は帝京大学倫理委員会の承認を得た研究である.
【結果】 検査対象者50名中1名が陽性で2%の有病率であった.
【考察】 本検査の適応症は, 「糖尿病又は糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの」に限定されており, 一般住民には馴染みのない検査であり, まして20代の若者に対しては受ける機会は皆無ある.
そこで, 40歳未満での陽性者が存在するかどうかに着目し, 検体供与を受けやすい本学学生を対象にしたものであるが, 結果は1名の陽性であった.
本研究の予測では陽性者が0名である可能性も想定していたが, パイロットスタディとしては有意義な結果であった.
【結語】 一般住民の中には隠れ糖尿病が多数潜在していることが推測され, 若年層に本検査を実施する意義は, 糖尿病の有無, ひいては将来の慢性腎臓病や心血管病の発症予防に寄与するものである.
O5-5 男性CEとして育児休業を経験して
○神田 要二郎、近澤 啓介、中尾 恭平、工藤 裕之、東 真悟、吉原 大貴、野本 修
鹿田 加奈子、中島 翔也、今村 亮太
公立八女総合病院 臨床工学科
【はじめに】 令和3年度の男性育児休業取得率は13*97%(雇用均等基本調査)となっており, 過去数年と比べ取得率は上昇傾向だが, 未だ水準が低いのが実情である. 今回, 男性CEの立場で育児休業(以下育休)を取得したため報告する.
【育休を取得した経緯】 以前から, 「乳児という短い時間を一緒に過ごせる」「妻の育児の負担を減らせる」等の理由で育休に興味はあったが, 育休取得予定はなかった. しかし, 今回多胎児を授かったということがわかったため育休を取得した.
【報告】 2022年8月から6カ月育休を取得した. 当院では10名体制(男女比9:1)で, Ⅰ透析 Ⅱ機器管理 ⅢOP室 Ⅳ循環器 Ⅴ内視鏡 Ⅵハイパーサーミアの業務があり, 私はⅡⅢⅣⅤの業務に従事していた. また, 循環器業務の拘束体制もあり, 月6回程当番をしていた. 各業務に複数人対応でき, 一名抜けると各業務の負担は大きくなるが, 各スタッフが補うことで業務が滞る状況にはならない勤務体制であった. 育休に入る際は, 他のスタッフに仕事を引継ぎ, 最低限の配慮をした.
【結果】 育休を取得したことで, 乳児という貴重な時間を終日一緒に過ごすことができ, さらに妻の負担が減り, 家族の時間が増えたことで楽しく育児をするという好循環が生まれた. 仕事の面では, 自身の業務を他のスタッフに強いる状況もあったが, 業務が逼迫することはなかった. 復職後は1週間程補助を付けてもらい, 久々の業務に対する不安を感じることなくスムーズに仕事復帰することが出来た.
【まとめ】 育休取得のためには, まず育休を取得しやすい環境整備が必要であると感じた. 当院の臨床工学科は, 普段からワークライフバランスを重視しているため, 育休に対する理解や気遣いもあり心置きなく育休を取得することができた. 私は, 男性が育休を取得することで仕事にも好影響を与えると考えるため, 今後男性CEの育休取得率が上昇することを期待する.
育休を取得しやすい職場が臨床工学技士会の中でも増えると臨床工学技士の未来はさらに明るくなるのではないかと考える.
また, 日本の「6歳未満の子どもを持つ夫婦の夫の家事・育児関連時間」は1日1.5時間ほどで, 他国(アメリカ等)と比べて低い水準となっている.
病院の規模や, その時の状況などで育児休業を取得可否か変わると思うが, 病院の規模にもよるが, 育児休業を取得することで, 好循環がうまれた. 家庭への影響は, 育児参加することによって, 妻の負担ストレスが減り, 自分自身も家事育児に大変さを理解することが出来た.
仕事の業務に対しての影響は, 育児休業は取得環境が整っていれば取得可能ではあると感じた. また育児休業取得環境を整えることが人材確保・離職防止・スタッフ間の信頼関係の向上につながる. しかし, 育児休業中は, 自身の業務を他のスタッフに強いる状況もあるため, それらを改善できるような人材教育, 環境整備が必要であると考える.
2021年6月に育児・介護休業法が改訂され, 育児休業を取得しやすい雇用環境整備が雇用主に義務付けられ2022年4月から段階的に施工されることが定められた
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
https://manekomi.tmn-anshin.co.jp/shigoto/17382441
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/dansei-ikukyuu.pdf
O5-6 新人教育の運用に適したツールの作成及び使用評価について
○島袋 倫太郎、大濱 明日香、仲松 晋也、野原 剛
社会医療法人 かりゆし会 ハートライフ病院 医療技術部 臨床工学科
【目的】 当科は, 2021年よりローテーション業務を開始している. ローテーター並びに新人教育も兼ねて, 透析患者の状態変化に対する対応方法をアプリ内で問題形式によって出題・回答・集計し, 知識の向上を図った.
【方法】 透析室に在籍している実務経験3年未満の臨床工学技士及び看護師18名を対象として, 患者状態変化症例14種類の対応と予防的視点について3週間繰り返し出題・回答した. 結果を元に知識が定着しているか, 回答者も自身が答案した問題を確認できる形で作成評価したので報告する.
【結果】
①アプリの使用評価として, 14種類の患者状態変化症例の中で正答率が高い問題と低い問題を集計し, その結果をもとに3週間の正答率変化で知識が定着しているか評価した.
②アプリの作成評価として, 今後の患者ケアの見直しに繋がっているか, 回答者への感想・改善点のアンケート結果を元に評価した.
【結語】 課題としては, アプリで問題を回答して知識が定着したとしても, 実際, 的確に判断して動けているのか, 新人教育のツールとして今後もアプリを取り入れていく必要があるのかをアンケート結果から検討していく必要がある.



