臨床工学技士に必要なVA-ECMOにおける全身管理の知識

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座長:佐潟 芳久(鹿児島大学病院)

SS11-1

臨床工学技士に必要なVA-ECMOにおける
全身管理の知識

相嶋 一登
横浜市立市民病院 臨床工学部 技士長

1 ECMO患者の予後は何に影響を受けるのか.

我が国では年間23,662件のVenoarterial ECMO(VA-ECMO)が行われており, 心原性ショックに対する生命維持療法として標準的に実施されている1). Asoらの報告2)によれば, 我が国におけるVA-ECMOからの離脱率は64.4%, そしてVA-ECMO離脱後の院内死亡率は37.7%とされている. さらに, Thiagarajanらは3)世界の310施設でECMO管理を受けた7,901症例において, ECMO離脱後の院内死亡率は42%と報告している. 依然としてVA-ECMOを要した患者の生存率は低い状況であり, VA-ECMOからの離脱成功率や生存退院率を高めるために管理技術を向上させることは, 我々臨床工学技士の使命である.

VA-ECMOからの離脱を阻害する因子として, 不整脈, 血圧(前負荷, 後負荷), 心収縮力, 冠血流, 心臓の機械的機能不全(心タンポナーデ, 弁疾患など), 心外性因子(呼吸器系, 炎症, 内分泌, 代謝)が挙げられている. VA-ECMOからの離脱がスムーズに進むように全身管理を行うことを“ABCDEアプローチ”と呼んでいる4). また, VA-ECMO離脱後の生存率にはSOFAスコア, 持続的腎代替療法の必要性, 最終Celebral Performance Category(CPC)スコアなど心外性因子が影響しており, LVEF, 血圧, 抗凝固薬, 血管作動薬の必要性については影響しておらず5), 予後改善には全身管理が必要である.

2 臨床工学技士としてどのように患者に向き合うべきなのか.

上記以外にも医療機器トラブル, 感染, そして侵襲による敗血症の発症, せん妄などECMOを用いた体外循環では, 患者の身体に様々な影響を及ぼすことが知られている. 臨床工学技士としては, ECMO駆動装置を始めとした様々な生命維持管理装置の安全な稼働に責任をもつことは当然であるが, 加えて患者の予後を改善するために, 体外循環中および離脱後にきめ細かい患者観察と持続的なモニタリングによる合併症の早期発見が必要である.

<参考文献>

  1. 厚生労働省: NDBオープンデータ 2020. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00011.html
  2. ASO et al: Critical Care 2016, 20: 80
  3. Thiagarajan et al: ASAIO Journal, 2017: 60
  4. Meuwese et al: Critical Care 2022, 26: 216
  5. Kim et al: Circ J 2020, 84: 2205

共催:テルモ株式会社

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