座長:山香 修(久留米大学病院)
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SS15-1 体温管理療法における看護管理の変化
山浦 章平
福岡大学病院 看護部 救命救急センター 救急看護認定看護師
体温管理療法(Targeted Temperature Management;以下TTM)は, 「低体温療法」と「平温療法」を含み, 高体温を回避することで脳障害の進行を防ぐことに加え, 中枢神経の保護作用を期待する治療法とされている. 当院では, 心肺停止蘇生後の患者に対し, TTMを実施し, 34.5℃以下での低体温療法や36.0℃以下の平温療法を実施してきた.
体温管理を行う上で, 重要なことはいかに「シバリングを制御するか」である. シバリングにより脳の代謝が亢進すると脳浮腫や脳細胞の障害を来たし, 治療効果が期待できなくなる. これまで, 冷却ブランケットや冷却ゲル被覆パッドを用いた体表面からのアプローチによりTTMを実施してきた. その際, 患者体温の変化に合わせ, 体温管理装置の設定温度を変更しなければならず, 目標体温までのスムーズな到達や患者体温の安定性が保たれないことからシバリングが頻発していた. 血管内体温管理システムであるサーモガード導入後は, 体温コントロールの安定性から, 看護師の業務負担が減少し, 鎮静剤や筋弛緩剤の投与下ではあるものの, シバリングの頻度は減少している. また, BSAS(Bedside Shivering Assessment Scale)やRASS(Richmond Agitation- Sedation Scale)を用い, 鎮静レベルを評価し, 医師や臨床工学技士などと情報共有することで, より厳密なシバリングの制御が可能となり, 過剰な薬剤投与を防止し, 治療方針へと反映している.
SS15-2 High Quality TTMを考える~体温管理の質~
鳩本広樹
福岡大学病院 臨床工学センター
我が国の救急搬送された心肺機能停止傷病者数は年間12万人を超える. しかし, その社会復帰率は10%に満たないのが現状である. 自己心拍再開後の再灌流は脳損傷や心筋障害を誘発することが知られている. そして, 体温管理療法 (Target Temperature Management: TTM)は心停止後症候群(Post Cardiac Arrest Syndrome: PCAS)に対して高体温による脳障害の進行を抑制し, さらに低体温にすることで中枢神経の保護を目的として行われる. また, TTMは管理目標温度の違いにより低体温療法(Therapeutic Hypothermia: 32~35℃)と平温療法(Normothermia: 35~37℃)とに大別される.
低体温療法の有効性は, 2002年のHACA study1)とBernard study2)においてショック適応の心停止蘇生後昏睡患者に対して有効性が示され積極的に低体温療法が実施されるようになった. しかし, 2013年に報告された大規模無作為化試験であるTTM trial3)では低体温療法と平温療法で神経学的予後に有意差を認めなかった. さらには2021年のTTM2 trial4)においても低体温療法の有効性が示されなかった. そして, 現在のJRC蘇生ガイドライン( Japan Resuscitation Council: 日本蘇生協議会)2020では32℃~36℃の間で目標体温を一定に維持することを推奨しており, TTMの温度設定は各施設の担当医の判断に委ねられているのが現状である.
一方で, TTMの効果を評価するためには目標体温のみならず, 冷却方法や導入までの時間等を含めた“TTMの質”が近年議論されている. 本講演では, ”TTMの質”を再考する中でこれまでに明らかとなった研究結果を共有し, さらに当センターでの取り組みおよびその経験を紹介する.
1) N Engl J Med. 2002 346(8): 549-56
2) N Engl J Med. 2002 346(8): 557-63
3) N Engl J Med. 2013 369(23): 2197-206
4) N Engl J Med. 2021 384(24): 2283-94
共催:旭化成ゾールメディカル株式会社



