| 座長: | 相嶋 一登(横浜市立市民病院) |
| 三木 隆弘(日本大学病院) |
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PS3-1 ICUでの集中治療専門臨床工学技士としての役割について
内村 鴻一
久留米大学病院 臨床工学センター
当院は1018床の特定機能病院であり, SICU:18床, 救命センター:44床を有する. ICUのCE配置人数は専従で, 平日日勤帯SICU:1名, 救命センター:3名, 土日祝:3名, 夜勤:1名体制である. また集中治療専門臨床工学技士(専門CE):3名, 認定集中治療関連臨床工学技士:2名が取得している.
ICUは高い専門性を求められる現場であり, 機器の専門的知識ほか, 重症患者の病態生理等も理解しておかなければならない. 専門CEの役割は, 根拠に基づき臓器関連を考慮し日々の日常診療にチームの一員として集中治療に関与できるCEだと考える. 今回は, 日常業務と地域教育について専門CEの役割について述べる.
<日常業務>ICUでの業務は装置の準備や操作・トラブル対応などがあるが, 当院では, 生命維持管理装置の使用中点検に重点をおいている. 機器が正常に動作しているかだけでなく, 患者にとって安全で効果的な臓器サポートが行えているかについて診療ガイドラインや最新の知見をもとに使用中点検を行っている. 例えば, 人工呼吸療器の使用中点検時に努力呼吸ある患者いた場合, 積極的にP0.1や食道内圧を測定し, その結果を電子カルテに分かり易く記載することで, チームで情報共有を行い臓器保護に努めている. また, そのような使用中点検を行うために, 患者の病態生理や病態把握・治療方針の理解が必要となるが, 当院では患者ごとのデータベースと日報を作成し, 患者データやSOFAスコアなどのスコアリングを行いCE間で共有し申し送り・カンファレンス・教育に活用を行っている.
<地域教育>福岡県臨床工学技士会の集中治療業務関連委員会では, 当院CEも委員として参加し集中治療セミナーを2年間で12回施行し, 約300名の参加を頂いた. 地域での集中治療のレベルアップに貢献していくのも専門CEの重要な役割と考える.
専門CEがいることでのクオリティインジケータによる評価を行い, エビデンスを構築していきたい.
PS3-2 当院における集中治療室での臨床工学技士の取り組み
中田 正悟
大分大学医学部附属病院 医療技術部 臨床工学・歯科部門
【背景】 集中治療室には, 救急患者・院内急変・術後管理等, 生命維持管理装置を必要とする重症患者が多く, 臨床業務や緊急時・トラブルシューティング等に能動的な対応を求められる. 近年「集中治療部設置のための指針」が改訂され, 集中治療専門臨床工学技士の勤務が推奨され, 専従が望ましいと明記されている.
【活動内容】 当院の集中治療室は, 主に術後患者に対応し, closed ICUで麻酔科が管理しているICUと, 主に救急患者に対応し, semi-closed ICUで救急科及び主科が管理しているEICUがある. 臨床工学技士(CE)はICUに専任者1名が, EICUには2022年から担当者2名(内, 常駐者1名)が配属となっている. 業務内容としては朝の医局カンファや回診から参加し, 患者情報の共有や治療方針の確認, 各種設定の上申・提案等を行い, それぞれ人工呼吸器・血液浄化・補助循環の臨床業務を行っている. ICUでは年間約90例(のべ600件以上)の血液浄化業務, 348例の人工呼吸器管理に対応しており, 補助循環業務においてはマンパワーの問題やV-A ECMOのみならず, VADやエクペラ等特殊体外循環の症例もあり, 普段から経験がある人工心肺担当CEが対応している. EICUは常駐化して約1年になるが人工呼吸器管理:242例, 血液浄化:69例, 補助循環:12例の臨床業務に加え, ECPR等のER外来対応も行っている. また, 重症患者搬送チームのメンバーとしてメカニカルサポート装着患者のドクターヘリ/ドクターカーでの院外搬送にも対応している.
【結論】 当院においては, ICU・EICU各々の管理体制や患者背景, マンパワー等で集中治療業務の全てを集中治療専門臨床工学技士が担うという事は困難ではある. しかし, 医師の働き方改革によるタスクシフト・シェアや夜勤業務の導入など, 集中治療における業務提供ニーズが高まった際には, 多職種間のスタッフ連携や集中治療以外の業務を行っているスタッフへの教育など, 今後集中治療専門臨床工学技士の役割は大きいと考える.
PS3-3 集中治療専門臨床工学技士の役割:最南端の専門技士が考える現状と未来の展望
玉城 智
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 臨床工学科 技師長
演者が勤務する沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは沖縄県立で有する6病院の1つとして設立されており, 県内唯一のこども病院としての機能を有しながら, 成人領域においても高度医療を提供する, 胎児期から成人までをカバーする多機能な病院である.
沖縄県立病院は戦後の歴史的な背景を踏まえて, 基幹病院, 救急医療, 政策医療等を提供しており, 事実, 沖縄県内に3次救急医療機関が3施設あるが, そのうち2施設が沖縄県立病院である. 演者はその2施設で沖縄県病院事業局職員として15年以上にわたり勤務し, 集中治療に関する経験を数多く経験させていただいた. その経験が, 集中治療専門臨床工学技士の資格取得につながったと考える.
集中治療専門臨床工学技士は, 2022年に日本集中医療医学会が集中治療医学の進歩発展を促進し, 臨床工学技士の質を向上させ, 国民の福祉に貢献することを目的として制度を設けた. この制度に基づき, 演者は集中治療専門臨床工学技士としての専門知識とスキルを磨き, より高度な医療技術を提供することを目指していく.
さらには今後, 集中治療専門臨床工学技士として更なる成長を目指しており, その一環として, 学会やセミナー等を通じて研究成果や実践事例を積極的に発表し, 専門知識の共有を図ることを考えています. また, 医学雑誌への寄稿を通じて, 幅広い読者に向けた専門的な情報を提供することも重要視しています.
将来的には集中治療専門医や集中治療関連認定資格等の修練施設基準として, 集中治療専門臨床工学技士の在籍が必須となることを意識し, 希望する. 施設基準は, 高度な技術や設備が整っていることを示す指標であり, その基準を満たすことは集中治療専門臨床工学技士としての信頼性と専門性を高める重要な要素である. 演者はこの施設基準に集中治療専門臨床工学技士が関与することを当面の目標とし, そのために必要な知識やスキルを継続的に学び, 専門領域でのリーダーシップを発揮する意欲を継続するようにする.
PS3-4 集中治療専門臨床工学技士が担う役割を考える
下田 峻椰
国立大学法人 長崎大学病院 ME機器センター
当院の集中治療部(ICU)はClosed ICU8床, Open ICU12床が設置されている. 臨床工学技士(CE)は2015年7月より宿日直体制の導入, 2020年4月より2交代制勤務へ移行した. ME機器センターには31名が属しており, 内26名がICU業務を行うことが可能である. 平日日勤帯ではICU専従者1名とローテーター1~2名, 休日日勤帯は1〜2名, 夜勤帯は1名が基本配置である.
集中治療専門臨床工学技士の役割はICUへの常駐により, 医師や看護師などの多職種とディスカッションを行う. また, 突発的な対応よりも事前に患者状態や治療方針などを詳細に把握し, 積極的な介入に加えて, 現場の要望に即座に応えられる体制となっている. その他様々な役割は考えられるが, 今回, 私からは教育的側面についての意見を提示したい.
他部門の専従スタッフやローテーターがICU業務に関わる以上, 教育は長期的な医療の質向上のために重要であると考える. そこで, 当院では業務マニュアルと業務到達度評価の作成により一定水準までの教育体制が整備されている. そのため, 24時間体制で基本的な業務への対応が可能となっている. この体制を維持するために必要なものが集中治療専門臨床工学技士である. 多くのCEが関わるICU業務を統括的立場としてその役割は重要だと考える. 基本的な業務を標準化し, 頻度の少ない業務に対しては, 指導的立場となることで連続した集中治療を継続できる. また, 現場からの要望を部門の運営状況に応じてフィードバックすることが可能である. このような教育構造により, 未来の集中治療を担うCEの育成が期待できる.
集中治療専門臨床工学技士は集中治療を牽引していくとともに, 発展に寄与する責務がある. 自分自身の能力の向上からチーム全体, 時にはさらに大きな枠組みの中で活躍できるような連携活動などが今後期待されるだろう.



