一般演題6 血液浄化1

一般演題
座長: 西 堅太郎(東長崎院)
  平山 信介(新里クリニック浦上) 

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○平岩 穂乃佳、小川 憲太朗、豊田 竜也、浦田 英明
社会医療法人財団白十字会 白十字病院 臨床工学部 

【背景】 血液浄化療法などで測定される活性化凝固時間(ACT)は, 各メーカーの測定方法, 測定機序が異なるため, 同じ検体でも測定値に差が生じることが知られている. 当院では今年よりACT測定装置「CA-300」を導入した. CA-300はヘパリンとナファモスタットメシル酸塩(NM)で使用するカートリッジが異なる. 今回, それぞれの抗凝固薬を2種のカートリッジで測定した際どの程度の差が生じるのか検討した 

【方法】 ヘパリン持続投与患者では, 透析3時間目に透析回路より血液を採取し測定した. NM持続投与患者は透析開始前と2時間後以降に測定を行った. 健常人は静脈採血を行い, ACT測定を行った 

【結果】 ヘパリン持続投与患者のACTを2種のカートリッジで比較した際, 約32秒の差があった. それに対しNM持続投与患者のACTを2種のカートリッジで比較した際, 約64秒の差があった. 健常人のACTを2種のカートリッジで比較すると約7秒の差があった.  

【考察】 NM持続投与患者のACTを2種のカートリッジで比較した結果と, ヘパリン持続投与患者のACT測定結果を比較すると約2倍もACTの差があった. CA-300のヘパリン専用カートリッジにはカオリンとセライトが凝固促進剤として使われているのに対しNM専用カートリッジの凝固促進剤はセライトのみである. NMがカオリンに吸収されるため2種のカートリッジで測定した際大きく差が出ていると考えられる. それに対し, 健常人の血液には抗凝固剤が入っていないためどちらのカートリッジで測定しても差があまり出ないと考えた.  

【結語】 今回の検証により, カートリッジの違いでACTに差が出ることが明確に分かった. ACT測定時には抗凝固薬に対し専用カートリッジを使うことが必須である.  

川上 昌浩1)、品川 隼一朗1)、田尻 光1)、成富 さおり1)、岩谷 龍治2)、腰塚 広昌3)
1)社会医療法人天神会 古賀病院21 臨床工学課
2)社会医療法人天神会 古賀病院21 腎臓内科
3)社会医療法人天神会 古賀病院21 放射線治療科

【目的】 当院では,難治性下肢潰瘍疾患の患者に対してレオカーナおよび高気圧療法(HBO)を施行している.今回はその併用療法を行った透析患者に対して下肢血流を測定した. 

【症例】 70歳代男性.透析歴20年.原疾患は痛風腎.右腎細胞癌の肝転移で外来にて抗癌剤投与継続中に両側下肢動脈疾患による疼痛が増悪し,両足趾潰瘍加療目的で前医に入院となった.入院中にはEVTを4回施行し,その後レオカーナ導入となったものの,さらにHBO目的にて当院へ転院となりレオカーナも継続治療した. 

【方法】 レオカーナは血液流量100mL/min2時間を週2回HBOは2ATAで60分間(治療時間計85分間)をレオカーナ未施行日の週4回,計30回施行した.下肢血流はポケットLDF (JMS)を用いて第1趾の皮膚表面下微小循環血流量を計測した.測定はレオカーナ治療6回目から24回目までの計19回において毎回,治療直前と直後に行った. 

【結果】 下肢血流量は,右下肢は治療直前18.3±4.5mL/minに対して直後25.7±6.5mL/min,左下肢は治療直前24.4±9.5mL/minに対して直後32.4±9.3mL/minと両側ともに有為に増加した(P0.05).しかし,治療6回目から24回目までの経時的な比較では増加はみられなかった. 

【考察】 レオカーナの治療単回毎の比較では下肢流量の増加を認めたものの,治療初期から24回の終了までの経時的評価では増加はなかった.しかし,徐々に潰瘍部は改善し,疼痛緩和に伴い鎮痛剤は減量され,Fontaine分類は度からⅡ度へスケールダウンしたことから著効した1例だと思われた.今回は日毎で測定値に差があり,その原因として測定者の違いや手技の相違、室温等の環境が考えられた.ポケットLDFは軽量で簡便に血流の状況を把握できる利点がある.よって,早急に測定部位をマーキングする等の測定手技を確立し,正確な測定による経時的評価を行っていきたい. 

【結語】 レオカーナ単回の治療直前直後では下肢血流量は増加した.今後もレオカーナとHBOの併用による難治性潰瘍の治療の評価を継続していく. 

○西牟田 舜1)、本田 綾1)、荒巻 瑞稀1)、天神原 崇1)、今井 徹朗1)、山香 修1)、杉原 学1)、柴田 了2)、深水 圭2)
1)久留米大学病院 臨床工学センター
2)久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門

【目的】 腹水濾過濃縮再静注は, 濃縮方式や装置の違いなどにより処理方法が異なるため, 施設による手技の違いがある. 今回, 当院でマスキュア濃縮フィルタを使用した症例において, その施行方法や回収率について報告する.  

【方法】 2020年12月~2023年5月までの48の症例に対し血液浄化装置(ACH‐Σ)で, マスキュア腹水濾過濃縮フィルタを使用し腹水濾過濃縮処理を施行した. 濾過膜TMPの上昇の有無, 性状別のALB回収率と原疾患別の特徴を後ろ向きに評価した.  

【結果】 ALB回収率との相関関係は全48例では腹水量は正の相関, 濾過膜TMP上昇症例23例では腹水量は正の相関, ALB濃度は負の相関, 濾過膜TMP上昇なし症例25例では腹水量は正の相関を示し, 性状別では漏出性では腹水量に強い正の相関, 滲出性は相関関係なく, 原疾患別では肝臓疾患では濾過膜TMP, 濃縮膜入口圧上昇はなく, 卵巣がん, 肝内胆管がん濾過膜TMP, 濃縮膜入口圧上昇が多く認められた.  

【考察】 回収率は, 腹水量と正の相関, ALB濃度とは負の相関はあると報告されている. マスキュアを使用した腹水濾過濃縮のALB回収率は, 濾過膜TMP上昇がなければALB濃度と負の相関は認められなかった. マスキュア腹水濾過濃縮フィルタはALB濃度に依存していないと考えられた.  

【結語】 今回, ACH-Σを使用しマスキュア腹水フィルタで腹水濾過濃縮再静注を施行したが濾過膜TMP上昇の有無, 性状, 原疾患と様々のものがあり今後も症例の積み重ねが必要と考える.  

○日高 優、溝口 将平、戸田 拓弥、鮫島 航己、植囿 航太、倉見谷 耕太、中村 充良、 宮久保 和久、淵脇 陽一、宮之下 誠
独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター

【緒言】 当院では心臓手術後に持続的腎代替療法(Continuous renalreplacement therapy:以下CRRT)を施行する際, 主治医指示にて無抗凝固薬でCRRTを施行  することがある. 出血のリスクが軽減される一方, フィルターや回路寿命の短縮が懸念される. 今回, 抗凝固薬(ナファモスタットメシル酸塩:以下NM)の有無によるCRRTや出血の影響について比較検討を行った.  

【対象】 2022年1月から2023年6月までの心臓手術後にCRRTを施行した患者24名を対象とした. そのうち1症例は透析移行により途中離脱となったため, 除外した.  

【方法及び検討項目】 対象症例をNM有群18症例(off pump:8例, on pump:10例), NM無群は5症例(全例on pump)に分類し比較検討を行った. 検討項目は, CRRTの24時間達成率, 血液検査データ, 手術時間, 入室時SOFA score・APACHEⅡ scoreの両群間の  比較, 並びに両群それぞれのCRRT開始前後12時間の1時間当たりの平均   出血量とした. 
統計は2群間の比較にt検定, カテゴリーデータの比較にFisher検定を用い, P値<0. 05で有意差ありとした 

【結果】 手術時間, 入室時SOFA・APACHEⅡ scoreに有意差は認められなかった. 24時間達成率はNM有群で78. 9%, NM無群で21. 1%とNM有群が有意に高かった. CRRT開始前後12時間の1時間当たりの平均出血量は両群共に有意な増加は認められなかった. CRRT前後の血液検査結果では凝固系(PT, APTT, PT-INR), PLTで   有意差を認めなかった. AST, ALTは術後においてNM無群が高値を示し有意差を認めた.  

【考察・結論】 今回の検討では, 結果より出血量は両群共に有意な増加は認めなかった. CRRT 前後の検査結果からも凝固系で有意差を認めなかったことから, CRRT開始後の回路交換の頻度, 回路凝固によるPLTの消費, 血液の損失を考慮するとNMを 使用した方が効率的なCRRT運用に寄与すると示唆された. AST, ALTで両群間に有意差が出たのは, on pump比率の影響が示唆された. 対象とした症例数が計23症例と少ないため, 今後多くの症例による検討が必要である.  

荒巻 瑞稀1)、本田 綾1)、西牟田 舜1)、天神原 崇1)、今井 徹朗1)、山香 修1)、杉原 学1)
柴田 了2)、深水 圭2)
1)久留米大学病院 臨床工学センター
2)久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門

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【目的】 当院の腎臓センターでは, 2017~2021年度の5年間で単純血漿交換143例, 二重濾過血漿分離交換107例, 血漿吸着60例, 計310例の血漿交換療法を施行した. 
今回我々は血漿交換療法の動向の調査と血漿交換療法を施行していく上での各科からの治療依頼方法, 指示受け, 血漿交換療法施行時の各スタッフの関わりや連携について報告する.  

【方法】 2017~2021年度の期間で血漿交換療法の症例やモダリティを後ろ向きに振り返った.  

【血漿交換の動向】 過去5年間の当院の血漿交換療法の動向としては, 神経疾患, 皮膚疾患, 膠原病, 腎疾患に対して施行されていた. その中で多発性硬化症, 重症筋無力症をはじめとする神経疾患での施行が全体の44%占めていた.  

【治療連携】 血漿交換を施行する場合, 主治医より, 治療の依頼・指示を受け, 治療当日の装置や物品の準備, 回路作成及びプライミングを臨床工学技士が担当する. また, 治療で使用する血液製剤は臨床検査技師が解凍, 輸送を行っている. Vascular Accessは腎臓内科医師が確保して治療を開始する. 治療中の患者管理は臨床工学技士と看護師が一緒に行い, 血圧低下, 気分不良, アレルギー症状, その他有害事象や施行中トラブルの対応を行っている. 施行後は関連医師が検査データ等を確認し治療評価を行い, 次回以降の治療計画を立てている.  

【まとめ】 当院での血漿交換療法の動向としては, 多発性硬化症, 重症筋無力症をはじめとする神経疾患での施行が全体の44%占めていることがわかった. また, 血漿交換療法を施行するにあたり, 主治医, 腎臓内科医, 看護師, 臨床検査技師, 臨床工学技士の5部署のスタッフが連携しており多職種との連携は重要であると考えている.

○山田 貴美子、尾長谷 亜実、名嘉 眞怜果、佐野 可奈
社会医療法人天神会 野伏間クリニック 臨床工学課

【目的】 当院の維持透析患者は平均年齢74.5歳と高齢で要介護認定者は6割,認知症の患者は1割を占める.認知症の患者は不穏の訴えが多く,他の患者に比べて抜針事故発生率が高い.抜針事故対策としては透析出血感知センサーを使用しているものの,上肢が細い患者ではセンサーテープが過大と感じた.今回は,穿刺部周りに貼付するセンサーを縮小させて用いた場合,感知能力に問題がないかを検討した. 

【方法】 通常は透析出血感知センサー;ブリーディングセンサー(株式会社アワジテック)をJMS透析用コンソールGC-X01(JMS)に接続し連携させて治療している.検討では透析出血感知センサーを単独で使用した.センサーテープは中心部が空洞の円形(外径65×内径35㎜)のものに加えて,センサー円状部分を一部重ねて外径をそれぞれ60㎜,55㎜,50㎜,45㎜に縮小させた計5種類を用いた.同一者の前腕に貼付後,生理食塩液を1㏄シリンジでセンサーテープ上とセンサーテープの内側の皮膚に注入し,センサーが感知した時点の注入量を比較した. 

【結果】 感知までの注入量は,センサーテープ上での注入では外径65㎜が0.13±0.03mL,60㎜が0.11±0.02mL55㎜が0.15±0.05mL50㎜が0.14±0.02mL45㎜が0.15±0.03mLで有意差はなかった.皮膚への注入では外径65㎜が0.30±0.04mL60㎜が0.23±0.04mLと有意差はなかったものの.55㎜0.22±0.06mL,50㎜0.21±0.06mL,45㎜0.18±0.05mLと有意に減少した.  

【考察】 センサーテープ縮小での感知までの注入量は,テープ上での注入では同等量で皮膚上での注入では少量であったことから,効果が低下することはないと考えた.高齢の女性では上肢が細い患者も多く,今後は縮小した使用も行いたい. 

【まとめ】 透析出血感知センサーのセンサーテープは縮小して使用する場合でも感知能力に問題はない. 

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