一般演題10 集中治療・内視鏡・感染

一般演題
座長: 阿部 豪介(大分赤十字病院)
澤村 匠之介(九州大学病院)

 

下の+マークをクリックすると抄録が開きます。

○清元 玲、古瀬 文音、松下 尚暉、森永 良和、竹本 勇介、新木 信裕、富永 圭一
独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター 臨床工学部門

【目的】 アモキサピン中毒に対する活性炭吸着療法(DHP)の治療効果の報告が本邦であまりないため, 今回アモキサピン除去を目的としてDHPを施行した. アモキサピンの血中濃度を測定し, DHPでの吸着除去を調べたので報告する.  

【方法】 アモキサピンの最高血中濃度到達時間は4時間とされており, 半減期は服用から12~34時間程度と報告がある. 救命医指示にて治療時間30時間連続・カラム計6本を使用した. 採血のタイミングは1本目・2本目は短時間施行にて開始直後のみ, 3本目以降は開始直後と開始3時間後・終了直後に追加しカラム前・後のアモキサピンの血中濃度を測定した.  

【結果】 DHP開始直後の1本目のカラム前のアモキサピンの血中濃度は1964mgに対し, カラム後の血中濃度は259mgまで減少していた. 以後2本目のカラム前の血中濃度は1640mg, 785mg, 571mg・カラム後の血中濃度も148mg, 40mgと減少し続けた. 最終6本目のカラム後の血中濃度は48mgまで減少していた.  

【考察】  DHP開始直後よりアモキサピンが継続的に除去できた為, 血圧上昇・意識レベルの改善が早期に診られたと考えられる. また, アモキサピン過量摂取の副作用として数日後に出現するとされる横紋筋融解に伴う急性腎障害を防ぐことができた為, 代謝性アシドーシス等も改善されたと考えられる. アモキサピンは蛋白結合率が90%と高く血液透析では除去されにくいことによりDHPによる治療の選択肢はあるが効果の確立は明らかではなかった. 今回は経過が良好で救命することが可能であり効果があったと示唆される.  

【まとめ】 三環系抗うつ薬アモキサピン中毒の治療に対し, DHPは有用であった 

○源田 卓郎、加藤 直道、荒倉 真凪、小田 款文、中田 正悟、溝口 貴之
大分大学医学部附属病院 医療技術部 臨床工学・歯科部門

【はじめに】 当院ではECMO中の体温管理に泉工医科工業の冷温水槽HHC-51(以下HHC)を使用している. 今回, 小型軽量であるニプロのバイオキューブヒータユニット(以下BC)を新規購入し, 2機種での運用となった. それぞれの仕様や特性の比較を実験回路を用いて行ったため報告する.  

【方法】 実験回路として人工肺と遠心ポンプを組み込んだECMO回路に水道水を3L/minで循環させ, 人工肺に冷温水槽を接続した. 冷温水槽はHHCとBCを使用し, 冷温水槽設定温度を38℃で加温し, 水槽内温度が設定温度に達した時点から10分間維持した. その後, 設定温度を34℃に変更し, 再び水槽内温度が設定温度に達した時点から10分間維持した. それぞれ同条件で水槽内温度, ECMO送血側温度, 冷温水槽負荷電流の変化を経時的に測定した.  

【結果】 水槽内温度が38℃に達する時間はHHC19分, BC12.5分であり, 34℃への低下に要した時間はHHC3.5分, BC31分であった. ECMO送血側温度の最高値はHHC:36.6℃, BC:37.1℃であり, 最低値はHHC:33.2℃, BC:33.8℃であった. 負荷電流はHHCは温度維持期の12.11Aが最大であり, BCは加温期の8.44Aが最大であった.  

【考察】 BCの方が水槽内温度とECMO送血側温度の上昇が早かった. 重量もHHC:30kg, BC:9kgであり, 軽量であるが, 加温性能は人工心肺にも使用できるHHCに劣っていないと考えられる. しかし, 冷却には時間を要したため, HHCに比べて冷却は不得手であることが示唆された. また, 負荷電流は定格入力の違いはあるがBCのほうが低く, 寸法的にも院内の様々な場所で使用しやすいことが考えられる. 添付文書上, 院外での使用は禁忌だが, 小型軽量で十分な加温性能があり, 低い負荷電流であるため将来的にはエクモカーなどの搬送にも使用できることを期待している.  

【結語】 BCは十分な加温性能があり, 小型軽量で持ち運びが容易であるが, 冷却はHHCと比較して不得手であることが示唆された.  

 

○能登原 孝、田口 裕紀、本田 靖雅、堤 善充
社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室

【はじめに】 2019年より, コロナ禍において感染管理が一層クローズアップされた. いまもなお医療現場において様々な手法を用いて環境整備が行われている. 当院においても感染防御チーム(Infection Control Team:ICT)を中心に感染予防・感染拡大防止に努めている. 今回我々は, 臨床工学技士(CE)が関連する業務において, 感染拡大防止を目的に対策を行ったので報告する.  

【方法】 CEが業務を行う部門において, 高頻度接触部位を選別し, キッコーマンバイオケミファ(株)製ルミテスターPD-30を用いてATP拭き取り検査(A3法)にて測定した. 測定頻度は月1回の清拭品質評価とし, 管理基準値(RLU)を逸脱した箇所に関しては再度清拭を実施した. 清拭に使用するワイプは当院で採用している5種を比較検討し, 用途に合わせて清拭を行う事とした.  

【結果】 開始当初のATP測定値は, 各測定箇所にて基準値を上回る結果を示していた. しかし, 室員を対象に汚れの種類による清拭ワイプの選択方法や拭き方の教育を行い, 測定箇所の清拭を繰り返すことで低値を示した.  

【考察】 ATP拭き取り検査A3法)はATPだけでなくADP(アデノシン二リン酸), AMP(アデノシン一リン酸)も含めた数値が総合的に値として現れるため, 生物が存在する証拠となる. よって, ワイプの選択や洗浄・清拭方法が正しいかを確認するために有効な数値となる. 汚れは菌の栄養源となり, 菌が増殖するための環境となるため, ATP値を可能な限り低く継続して保つことが適切な感染管理を行う指標になると考える.  

【まとめ】 CEが行う業務領域は多岐に渡り, 血液や体液, その他様々な物質によって汚染される可能性がある. 目に見えないものを管理するためには, 日頃からの5S(整理・整頓・清拭・清潔・しつけ)の徹底は元より, 清浄度に関する意識付けも重要であると考える. また, ワイプの種類によってATP測定値への効果が異なるため, 用途に合ったワイプや清拭方法の検討が必要性であると考える.  

岩崎 誠
医療法人徳洲会 鹿児島徳洲会病院 臨床工学室

【背景】 

(内視鏡業務)看護師1人しか直接介助業務ができず, 新築移転をして検査数, 治療数の増加し, たびたびドッグの患者さんの検査遅延クレームが発生, 残業の増加が発生していた.  

(スコープオペレーター業務) 法律改正されたタイミングで, 消化器外科の医師からの要望があったため.  

【目的】
(内視鏡業務) 増加する業務量を安全・効率的に行う. 
(スコープオペレーター業務) オペ室業務の拡大, スコープオペレーターとしての認知拡大 

【方法】
(内視鏡業務)CE対象で, 内視鏡業務の教育を難易度ステップごとに教育マニュアルを作成した. また, 内視鏡室スタッフ全員の直接介助の向上を目的に, デバイス体験コーナーを一角に設置し, 各種デバイスとその操作方法・ポイントなどを展示した. 定期的に, 実際のスコープとデバイスを使い練習を行っている. 
(スコープオペレーター業務)未経験者の方でも業務をスムーズかつ安全に業務に慣れるためのチェックリスト作りと, 多くの鏡視下手術の術式への理解のため, PDCAシートを作成し各自に配布する. 術式別で簡単な資料を作成し, 理解を深められるようにした.  

【結果と考察】
(内視鏡業務) 直接介助をできるスタッフが増え, 以前よりは, クレーム・残業が減った. 実際の症例数に限りがあるため, すべてのスタッフが入れない状況である. 
(スコープオペレーター業務) 業務開始から, 鏡視下手術のCE介入率が93%と, 医師・オペ室スタッフから広く認知されている結果となったが, 鏡視下手術の流れの理解や操作は難しい. PDCAシートなどを利用して1つ1つ理解していくしかない. また, この機会にオペ室の麻酔器・電気メスの点検も始めた.  

【結語】 CEの消化器分野への取り組みを通して, 内視鏡業務を安全に効率的に行え, 鏡視下手術への貢献でき, 新たなオペ室業務の創設にもつながっている.  

○川端 唯斗、馬場 彩、春田 加奈絵、小野 裕明
朝倉医師会病院 診療技術部 臨床工学科 

【はじめに】 軟性内視鏡スコープ(以下スコープ)は故障リスクが高く, 高額修理費が発生することも多い. 2021年4月より臨床工学技士(CE)が内視鏡業務に新規に参入し, スコープの修理費用削減効果について検討した.  

【方法】 現在使用しているスコープ(上部内視鏡17本, 下部内視鏡4本, 経鼻内視鏡3本)を対象にCE参入前(2019~2020年度)と参入後(2021~2022年度)での修理件数と修理費用, 修理内容を比較した. 修理は保守契約修理のみとし未修理返却のものは除外した.  

【結果】 修理件数と修理費用はそれぞれ, 参入前が13件:456万円(2019年度7件:212万円, 2020年度6件:244万円), 参入後は8件:333万円(2021年度5件:178万円, 2022年度3件:155万円)であった. 修理内容は全般で操作部のアングル遊び, 挿入部のアングルダウン, 湾曲部ゴム接着部はがれが多かった. 参入前は挿入部の軟性管の傷, つぶれや湾曲管のつぶれ, スコープコネクター部の水被りによる画像ノイズが多く, 参入後は先端部の水切れ不良や先端カバーのつぶれなどが多かった.  

【考察】 当院のスコープは2018年度より, 保守契約を結んでおり, 年2回のメーカーによる点検が実施される. CE参入後の2021年10月より, スコープセッティングや洗浄消毒, 保管管理までをCEが担い, メーカーよりスコープ点検方法の指導を受け, メーカー点検に加えてCEによる点検を行うことで, 3ヵ月毎(年4回)の点検を実施している. 定期点検や日常管理の強化により, 接着部のはがれやアングルダウンなどを早期発見することは, 修理費用の削減につながると考えられた. しかし, 参入後もスコープ先端部のぶつけによるレンズ破損等もあり, スタッフへの教育も重要であると感じる.  

【結語】 臨床工学技士が軟性内視鏡スコープの定期点検を追加で実施することは, 修理費用を抑えることが可能であり, 今後も継続して管理していきたい.  

 

 

栗原 華奈1)、上村 祐輝1)、竹下 夏未1)、上野 顕司1)、宮田 卓1)、蛯原 朋香2)、西久保 友里恵3)本田 靖雅3)堤 善充3)池田 智哉3)
1)社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室
2)社会医療法人雪の聖母会 聖マリアヘルスケアセンター 臨床工学室

【はじめに】 聖マリアヘルスケアセンター内視鏡室では, 内視鏡自動洗浄消毒装置(洗浄機)に過酢酸製剤(アセサイド)を使用している. アセサイドのインタビューフォームによると, 濃度が0.20%以上であれば十分な殺菌効果は得られ実用下限濃度を下回らないように確認する必要があると記載されている. 今回, アセサイドの濃度変化について評価したので報告する.  

【方法】 

オリンパス社製内視鏡自動洗浄消毒装置(OER-51台, OER-63台)を対象に2023年2月から5ヶ月間計805件のデータにて評価を行った. アセサイドの濃度は0.21%以上と定め洗浄前に濃度判定試験紙とサラヤ社製ポータブル濃度チェッカー(PC-8000)を用いて測定する事とした. PC-8000は濃度を数値で確認することができるため, 実用下限濃度に近づいてくる調合日より4日以上もしくは洗浄回数15回以上で使用し結果を記録した.  

【結果】 

調合日より2~5日の15回で比較すると, それぞれ平均値が2日目0.25%, 3日目0.24%, 4日目0.23%, 5日目0.22%となり日数が経過するにつれて同じ洗浄回数でも濃度は低下していった. ただし, 洗浄回数が2回の場合の4日目と5日目の平均値は0.3%, 0.25%であった.  

【考察】 

調合より日数と洗浄回数が経過するにつれ濃度は低下しており, 調合日数に比し洗浄回数により影響を受けることが示唆された.  消化器内視鏡の感染抑制に関するマルチソサエティ実践ガイドではアセサイドは7~9日, 25~30回での使用が目安とされているが, 当院の実測値では7日未満, 25回未満でも有効濃度0.20%を下回る場合があるため, 感染の観点より十分な殺菌効果を得るために洗浄毎の濃度測定は重要であると考える.  

特集記事

TOP